メルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフ(チーム代表)は、先週末に行われたF1ハンガリーGP決勝でバルテリ・ボッタスが大きなミスを犯したものの、それが2022年のドライバーラインアップ決定に直接的な影響を及ぼすことはないと示唆している。
シルバーストンで行われた第10戦イギリスGP決勝では当時ポイントリーダーだったマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がルイス・ハミルトン(メルセデス)とのクラッシュによりリタイアを余儀なくされた。
そして、先週末のハンガロリンクではスタート直後にボッタスがブレーキングミスを犯してランド・ノリス(マクラーレン)に追突。結局これがフェルスタッペンやチームメートのセルジオ・ペレスも巻き込むマルチクラッシュとなってしまった。
このレースでメルセデスにドライバーズランキング、コンストラクターズランキングともに逆転されてしまったレッドブルだが、ハンガリーGP決勝後にはチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーがヴォルフとの握手を拒んだところがカメラにとらえられていた。
その後、ヴォルフはメディアを通じて今回の事故はボッタスに責任があるものだったと認め、謝罪を行っている。
こうした中、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、今回のミスによりボッタスがメルセデスのシートを失うことがほぼ確実になったと次のように報じている。
「彼(ボッタス)のドライビングには正確さが欠けている。彼はメルセデスのシートに別れを告げることになるだろう」
ドイツの『Suddeutsche Zeitung(ズードイチュ・ツァイトゥング)』も次のように書いている。
「この大きなドライビングミスにより、ボッタスは来シーズンもルイス・ハミルトンと組むチャンスをさらに弱めることになってしまった」
「そして、ボッタスがライバルに謝罪した一方で、彼の後継者候補(ジョージ・ラッセル)はダメージを受けたウィリアムズで9位フィニッシュしてみせた」
だが、ヴォルフは2022年にハミルトンと組むドライバーに関しては夏の間に決めるという考えに変わりはないとしている。
「夏には自分たちがやろうとしていることを正確に分析する必要がある」
そう語ったヴォルフは23歳のラッセルと、今年メルセデスで5年目のシーズンを迎えている31歳のボッタスに言及しながら次のように付け加えた。
「若さをとるか、あるいは安定をとるかをね」
そして、今回のボッタスのミスが2022年のドライバー決定に影響を及ぼすのではないかと質問されたヴォルフは次のように答えている。
「バルテリの1回のミスは重要ではないよ」
一方、同じ質問を受けたボッタス本人は次のように答えた。
「レース後に少しだけトトと話したけれど、そのことについての話はしなかったよ」
「だけど、ひとつのレースが状況を大きく変えるとは思わないよ。今後数週間のうちにはどうなるか見えてくるだろう」
しかし、伝えられるところによればボッタスのマネジャーを務めるディディエ・コトンがハンガリーGPの舞台となったハンガロリンクで積極的にボッタスの売り込み活動を行っていたようだ。
そして、最近の報道によれば、ボッタスが2022年にアルファロメオに移籍する可能性も高くなってきているという。
もし今季限りでメルセデスのシートを失うことになった場合にはどういう選択肢が残されているのかと質問されたボッタスは「僕のマネジメントがそれに取り組んでいるところだよ」と答えている。
一方、F1公式タイヤサプライヤーであるピレリが今週ハンガロリンクにおいて2022年から採用される18インチタイヤのテストを行っているが、メルセデスはそのテストにラッセルを起用している。
これは、メルセデスが2022年にボッタスに替えてラッセルを起用する可能性が高いことを示すものだと受け止めている者が多いようだ。