ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーが、ミック・シューマッハとニキータ・マゼピンの2人は仲がいいとは言えないと認めた。
2021年のF1には3人のルーキードライバーが登場する。1人はアルファタウリ・ホンダの日本人ドライバー角田裕毅だが、あとの2人はいずれもハースのチームメートとしてデビューすることになる。
7度のF1王者であるミハエル・シューマッハの息子のミックはフェラーリの契約下にあるドライバーであり、ハースと強い技術提携契約を結んでいるフェラーリの意向により今年ハースのシートを確保したものだ。
一方のロシア人ドライバーであるマゼピンは、今年からハースのタイトルスポンサーとなったウラルカリ社のオーナーであるドミトリー・マゼピンの息子だ。
シューマッハとマゼピンはいずれも1999年3月生まれの22歳であり、この若い2人が1年目のF1シーズンにどういう走りを見せるのかに注目が集まるのは確かだろう。
しかし、小規模チームのハースにとってドライバーが2人ともルーキーというのが理想的なことではないのも明らかだ。実際のところ、シュタイナーは最近、2021年はコンストラクターズランキング最下位に落ちることも覚悟しているようなコメントを行っている。
さらに、その2人のドライバーが必ずしもチームワークを発揮できるような状態ではなさそうなこともシュタイナーにとっては頭の痛いところだろう。
シュタイナーによれば、シューマッハとマゼピンは「性格が極端なほどに違う」ため、その結果として2人の関係はあまりうまくいっていないようだ。
「確かに、彼らが夜に一緒に出かけるようなことはないよ」
ドイツの『Suddeutsche Zeitung(ズードイチュ・ツァイトゥング)』にそう語ったシュタイナーは次のように付け加えた。
「しかし、彼らにはそうする必要はないがね」
マゼピンに関しては、レースでかなり乱暴とも言える走りをすることやシーズンオフ中に女性に対する悪質な行為を行った映像が出回ったことなどで、F1ファンの評判もあまりよくないのは確かだろう。
シュタイナーはそのマゼピンやシューマッハの性格について次のように語っている。
「彼はとても直接的だよ」
「彼には自分が何をしたいのかがはっきりと分かっており、すべてのことに対して可能な限り最短のルートで取り組もうとするんだ」
「ミックはいろいろなことに関してもっとよく考えるね。彼はいろいろなことを分析する。そして、彼の方がもっと謙虚でもある」
こうしたことから、F1関係者の中にはシューマッハとマゼピンがいずれは衝突することになるだろうと考えている者が多いようだ。
こうした中、マゼピンは今季の開幕戦が行われるバーレーンで母国ロシアの『Tass(タス通信)』に次のように語った。
「もちろん、チームメートよりも上に立つような結果を出すことが大切だよ」
「誰が僕の隣にいるのかは関係ないよ。F1に来たならば、注目されることが重要なんだ」
一方、“Black Lives Matter”運動の強力な推進者でもある現F1チャンピオンのルイス・ハミルトンは、2021年シーズンもレース前にドライバーたちに30秒ほどひざまずくことを提唱している。
だが、マゼピンはどうやらひざまずくつもりはなさそうだ。
「サーキットでのパフォーマンスだけでなく、社会のために何かよいことをしようとすることは非常に重要で正しいことだよ」
レース前にハミルトンと同様にひざまずくつもりなのかと尋ねられたマゼピンはそう答えると次のように付け加えた。
「でも、大切なのは30秒の行動ではなく、世界をよりよく変えるために自分のやり方に従って生きていくことだよ」