かつてレッドブルでセバスチャン・ベッテルのチームメートを務めていたマーク・ウェバーが、ベッテルはもはや今シーズンの終了を待たずにフェラーリで走るのをやめたほうがいいと語った。
●【決勝レース結果】2020年F1第1戦オーストリアGP決勝レースのタイム結果
今季限りで決別することが決まっているフェラーリとベッテルだが、両者の関係に大きな溝が生じてしまっているのは明らかだ。
5月半ばにフェラーリはベッテルと2021年の契約を結ばないことを発表したが、そのときは両者の合意のもとでその結論に至ったというスタンスがとられていた。
だが、今季のF1開幕戦オーストリアGPの舞台となったレッドブルリンクにおいて、ベッテルは実際には話し合いなど行われておらず、フェラーリから一方的に今季限りでの契約解消を言い渡されていたのだと暴露。
フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットはそれが事実であると認めながらも、当初はベッテルの契約を延長するつもりだったものの新型コロナウイルスにより環境が大きく変わってしまったためにそういうことになってしまったのだと弁解めいたコメントを行っている。
だが、ベッテルは今週月曜日(6日)にオーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』に、そのビノットの発言について次のように語った。
「コロナによる状況はそれほど重大ではなかったと僕は思うよ」
ベッテルはさらに、フェラーリとベッテルが決別することになったのはベッテルがフェラーリから提示された大幅な減俸を受け入れなかったからだとメディアで報じられていたことに関しても次のように語った。
「僕くらいここで長くやっていれば自活できるだけのたくわえはあるし、そんなことが障害にはならなかったと思うよ」
そのベッテルだが、先週末のオーストリアGPでは予選でQ2敗退を喫し、決勝でも来季自分の後任としてフェラーリへ移籍するカルロス・サインツ(マクラーレン)と接触を演じてしまう失態を見せてしまった。
新たにフェラーリのナンバー1ドライバーとなったシャルル・ルクレールは7番グリッドスタートからチャンスを活かして2位表彰台を確保しており、ベッテルの株がさらに下落してしまったのは確かだろう。
しかし、ベッテルはそれらに関してもフェラーリの2020年型マシンの挙動がおかしいためであり、スピンを1度にとどめることができたのは幸運ですらあったと主張している。
かつてベッテルがF1デビューを飾ったトロロッソで当時チームの共同オーナーを務めていた元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーはベッテルに好意的な姿勢を示している。
「セブ(ベッテルの愛称)はF1チャンピオンに4回なっている」
そう語ったベルガーは次のように付け加えた。
「彼ら(フェラーリ)はクルマに関する彼の批評を真面目に受け止めるべきだよ」
一方、2009年から5年間レッドブルでベッテルのチームメートであったオーストラリア出身のウェバーは、ベッテルはできる限り早くフェラーリとの関係を終わらせるほうがいいだろうと次のように語っている。
「相性はこじれてしまっている。結婚生活は終わりを告げているよ」
「セバスチャンは今も赤いウエアを着て赤いクルマを走らせている。だが、彼はもはや自分だけのためにそこにいるんだ。関係する者すべてにとって、早く終わらせたほうがいいと思うよ」
ウェバーは、ベッテルがフェラーリと実際に交渉することなどなく電話1本で契約解消を伝えられていたことに驚いたと認め、次のように付け加えている。
「彼と直接会って伝えようとさえしなかったということは、明らかに関係が健全ではなかったということだ」
ウェバーはさらにベッテルの母国ドイツのテレビ局『Sport1(シュポルト1)』にも次のように語っている。
「セブは最近疲れているように見えるし以前より老けて見えるよ」
「常にドライバーに視線が集まるものだが、マラネロ(フェラーリ)では自分自身にも目を向けるべきだね」
「ドライバーにばかり責任を押しつけることはできないよ」
ウェバーは、かつてのチームメートであるベッテルがフェラーリとの冒険を終えて「心を落ち着ける」ことができ、ほかのチームで「かつてのベッテル」を取り戻すことができることを望んでいると次のように付け加えている。
「(ベッテルが)すでに終わったとは僕は思っていないよ。彼には2022年にまだ何かをやるチャンスがある。あるいは、2021年にレッドブルとやる可能性だってあるかもしれないよ」
しかし、レッドブルではこれまでたびたびベッテルの復帰を否定してきている。
『Servus TV(セアヴスTV)』からベッテル加入の可能性について質問されたチーム代表のクリスチャン・ホーナーは次のように語った。
「もちろん、フェルスタッペンとベッテルは素晴らしいコンビになるだろうね。だが、我々はアレクサンダー・アルボンに非常に満足しているよ」