セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)と親しい人物が、今季限りでベッテルがF1を引退することなどあり得ないと主張した。
今年フェラーリで5年目のシーズンを迎えているベッテルだが、今季も8戦を終えた時点で6勝をあげたライバルのルイス・ハミルトン(メルセデス)からすでに76ポイントもの大差をつけられてしまっており、もはや今季のF1タイトル獲得は絶望的だと言っても過言ではない状況に追い込まれている。
しかも、ベッテルは前戦F1フランスGPではすべてのセッションで21歳のチームメート、シャルル・ルクレールの後塵を拝してしまっており、イタリアのメディアの中にはフェラーリはルクレールをナンバー1として扱うべきだと主張しているものさえある。
ベッテルはかつてレースごとにヘルメットデザインを変えることで有名だった時期がある。そのベッテルのヘルメット製造に深く関わっていたのがヘルメットメーカーAraiに所属するピーター・バーガーだ。
ベッテルはフランスGPの直前にパートナーのハンナと正式に結婚したことが明らかとなったが、これはベッテルがF1を引退し、家族との生活を中心とする人生を歩み始めることを意味するものではないかと質問されたバーガーは『Kolner Express(ケルナー・エクスプレス)』に次のように答えた。
「いや、彼とハンナはもう長いこと一緒に生活してきている。彼らにとって今が(結婚の)ふさわしい時だっただけさ」
「加えて、彼にはまだ契約がある。彼は絶対にそれを全うするよ。セブ(ベッテルの愛称)はこれまでずっと契約を守ってきたし、あきらめるような人物じゃないよ」
「それに、彼はこう言っていた。自分にはフェラーリでまだやることがあるとね」
しかし、特にモントリオールで行われた第7戦カナダGPでポールポジションからスタートし、先頭でチェッカーフラッグを受けたものの、5秒加算ペナルティーを受けたことでハミルトンに勝利を奪われた形となったことでベッテルのフラストレーションが最高潮に達したのは明らかだった。
ベッテルはカナダGP後に、今のF1はかつて自分が大好きだったものとは変わってしまったとコメントしている。
そんなベッテルのことが心配にならないかと質問されたバーガーは次のように答えた。
「いや。私はセブのことをよく知っているからね」
「クルマに乗ると彼は非常に感情的な緊張にさらされてしまうんだ。そんなときに不公平な扱いを受けてしまえば、彼のバルブが開いてしまうのさ。モントリオールがそうだったようにね。我々が目にしたのはそういうことなんだ」
そう語ったバーガーは次のように付け加えた。
「もしセブが“僕は何千万(ドル)も稼いでいる。だから気にしないよ”と言うようなことがあれば、そのときは彼が引退するのではないかと心配し始める必要があるだろうけれどね」