ルノーF1プロジェクトを率いるシリル・アビテブール(マネジングディレクター)が、2019年シーズンに向けての意気込みを語った。
2016年にフルワークスチームでのF1挑戦を再開したルノーだが、以後少しずつパフォーマンスを高め、今年はついにトップ3チームと呼ばれる、メルセデス、フェラーリ、そしてレッドブルに次ぐコンストラクターズランキング4位にまで浮上した。
■トップ3チームとの間にあるのは“予算の差”
とはいえ、ルノーが2018年シーズンに稼いだのは122ポイントであり、トップのメルセデスとは533ポイント差、3位のレッドブルとも297ポイントもの大差がついてしまっており、上位3チームとの差が依然として非常に大きいのは事実だ。
アビテブールはその原因のひとつは予算の差だと主張している。アビテブールによればルノーF1チームの予算はメルセデスとの比較では「60%も少ない」のだという。
「だが、バジェットキャップ(予算上限値)が設定されたときには、今のハンディキャップが強みになるはずだ」
そう語ったアビテブールは次のように付け加えている。
「トップチームたちが使っている額は受け入れられるものではない。我々はチームを自分たち自身で保護する必要があるんだ」
アビテブールは、バジェットキャップ導入が実現するまでは現在のような状況が続く可能性が高いと考えている。つまり、2019年シーズンも一気にレッドブルを追い抜いてランキング3位に上がることを目標に掲げるのではなく、今よりも差を縮めることを目標とする方が現実的だというわけだ。
■レッドブル・ホンダには負けたくない
しかし、アビテブールが今季限りでルノーと決別し、ホンダと組むことにしたレッドブルに対して闘志を燃やしているのは間違いない。
「レッドブルとホンダがどうなるか様子を見ていくことにしよう」
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にそう語ったアビテブールは次のように続けた。
「レッドブルは飽きもせず、我々との比較においてホンダのほうがいいと言い続けている。だが、トロロッソの方が我々よりも下にいると言わせてもらいたいね」
ともあれ、今季までレッドブルもルノーPUを搭載していたわけだが、同じPUを使っていたにもかかわらず本家ルノーはレッドブルに大きな差をつけられてしまっていた。つまり、レッドブルとルノーの差はPUではなくて「シャシー」にあるということになる。
■エンジンに関してはメルセデスらとの差を縮められる
アビテブールもシャシーの改善が最大の課題であると認めたものの、PUに関してももちろんメルセデスやフェラーリとの差を縮めるためにやるべきことがあると次のように続けた。
「レースでは15から20キロワットほどエンジンパワーが足りないんだ。特定の状況下においてはレッドブルがシャシーによってそれを埋め合わせることができていたかもしれない」
「予選では、我々は40キロワット負けていたと見積もっている。これは大きな差だ。来年の予選ではこれほどの差があると言わずに済むことを願っているよ」
「エンジンに関しては冬の間にメルセデスとフェラーリとの差を縮められないという理由は何もない。シャシーに関してはもう少し時間が必要だろうね」
■レッドブルの態度が示すものは?
アビテブールは、ニコ・ヒュルケンベルグに加え、レッドブルを離脱したダニエル・リカルドを迎えて臨む2019年には間違いなくさらに躍進を遂げられる自信があると次のように主張している。
「レッドブルがアブダビ(公式シーズン後テスト)でダニエルが我々のクルマでテストすることを認めなかったのは、明らかに理由があったからさ」
「レッドブルが我々の邪魔ばかりするというのは、我々がいい方向へ向かいつつあるということを示すものだよ」