かつてミハエル・シューマッハらとともにフェラーリ黄金時代を築いたロス・ブラウンが、今のフェラーリに対して助言を行った。
2018年シーズン前半には今季のF1ドライバーズタイトルを獲得する可能性が一番大きいのはセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)だろうと考えていた者も多かった。
ところが、シーズンが後半に入るとベッテル自身のミスにチームの戦略ミスも重なり、あっという間に失速。結局今年もメルセデスのルイス・ハミルトンが2レースを残してF1チャンピオンの座を手に入れてしまった。
今年7月に前フェラーリ会長のセルジオ・マルキオンネが死去したが、それからフェラーリのペースが落ちてしまったことから、チーム内に新たな権力闘争が勃発したことがフェラーリの不振の一因となったのではないかと考えている者もいるようだ。
■ベッテルは必死だったとハミルトン
ハミルトンは今季最大のライバルであったベッテルについて、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語っている。
「彼(ベッテル)は今年必死に戦ったよ」
「彼には何度かつらいときもあった。だけど、フェラーリはもう何年もタイトルを獲得できていないからプレッシャーもすごく大きくなっていたんだ」
「僕たちはお互いにすごく尊敬しあっているよ」
■フェラーリに必要なのは焦らずに前を向くこと
一方、かつてフェラーリが最強だったころに技術責任者を務めていたブラウンは、『Speedweek(スピードウィーク)』に次のように語っている。
「フェラーリとベッテルはこれからまた再スタートを切る必要がある。そしてそのためには何がまずかったのかを彼らが理解することが必要だ」
「それから、彼らはパニックを起こしたり、あるいは、よく考えずに反射的な行動に出たりすることなく、そのエリアを改善しなくてはならない」
現在はF1オーナーのリバティ・メディアのもとでF1モータースポーツ担当マネジングディレクターを務めるブラウンだが、フェラーリにはこれから集中すべきポジティブな面もたくさんあると次のように続けた
「わずか2年で、フェラーリはまたタイトル獲得候補者に名乗りをあげることができた。これはハイブリッド時代が幕を開けた当時には想像することさえ難しいことだった」
「フェラーリはこれから前を向いて前進していかなくてはならない。焦ることなくね」
■自分もベッテルと同じことを経験したとブラウン
ブラウンはさらに、最近批判にさらされることが増えているベッテルに関して次のように語った。
「レース後の記者会見のとき、彼は本当に打ちのめされていたように見えた。私はそれも理解できるよ。シーズンを通じて目指してきた目標に手が届かないことが確定したんだ。思い返して後悔の念にかられることもたくさんあるからね」
「私もそういう状況についてすごくよく知っている。最初にそれを経験したのは彼と同じチームにいたときだったよ」