メルセデスが、現在のF1オーナーであるリバティ・メディアが提案している2021年からのF1エンジンレギュレーション変更案を受け入れることになりそうだ。
■F1撤退も示唆していたメルセデス
2017年10月にリバティ・メディアが2021年以降のF1エンジンルール案を提示したが、その内容はPU(パワーユニット)と呼ばれる現在のF1エンジンにおいて最も複雑なコンポーネントとなっているMGU-H(熱エネルギー回生システム)を廃止するなど、テクノロジー的には現在のものから一歩後退するものとなっている。
これに対してメルセデスやフェラーリは反対の意思表示を行っており、もしリバティ・メディアがその案を修正しなければF1からの撤退もありえると示唆していた。
だが、リバティ・メディアとF1統括団体であるFIAは今年4月にもあらためて2021年以降はMGU-Hを廃止する方向を確認。これはほかのエンジンメーカーが新規にF1に参入する際のハードルを低くするという目的もあるためだ。
■妥協も必要だと判断したメルセデス
メルセデスF1チームを率いるエグゼクティブディレクターのトト・ヴォルフは、今季のF1第6戦が開催された先週末のモナコにおいて次のように語った。
「我々は多くの点に関して妥協し、MGU-Hの廃止に合意したよ」
「我々としては、テクノロジーに関しては一歩後退することになると考えている。だが、エンターテインメント性を高めるためには一定の妥協を行うことにした」
「(エンジンの)最大回転数は上げられるし、燃料の消費制限も撤廃される。エンジン音ももっと大きくなる」
「環境面から考えれば最も正しい取り組み方だとは言えないだろうが、我々もそれは理解できる。我々全員がもうすぐ合意に至るだろう」
そう語ったヴォルフは、最近行われてきたエンジン関連ルールに関する会議に出席するにあたっては“アンガーマネジメント”の専門家に相談しようと思ったほどだとの冗談を飛ばしたものの、結局のところF1を存続さえていくためには妥協も必要なのだと付け加えている。