メルセデスAMGを率いるトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)が、2017年のF1ドライバーズタイトルをフェラーリのセバスチャン・ベッテルにさらわれないようにするにはチーム方針の変更も必要かもしれないと示唆した。
■ハンガリーでベッテルに余分なリードを与えたメルセデス
夏休み前最後のレースとなった今季の第11戦ハンガリーGPではベッテルが優勝を果たした。
だが、ベッテルを1ポイント差で追っていたメルセデスAMGのルイス・ハミルトンは、レース終盤にチームメートのバルテリ・ボッタスを前に出し、本来は3位でゴールできていたはずのレースを4位で終えてしまった。
もしそのまま3位でフィニッシュしていればベッテルとの差は11ポイントにとどめられたはずだが、4位となったことでさらに3点が加算され、現在は14ポイント差に開いてしまうこととなった。
ハンガリーGP予選ではボッタスが3番手、ハミルトンが4番手となり、決勝でもその順序での走行が続いていた。しかし、終盤にきてハミルトンのペースのほうがよいと判断したメルセデスAMGは、ボッタスにハミルトンを前に出すように指示。
この際、もしハミルトンが2番手を走行していたフェラーリのキミ・ライコネンをとらえて順位を上げることができなければ、最後にはボッタスをまた3番手の位置に戻すという条件が提示されていたのだ。
そして、結局フェラーリを追い抜くことができなかったハミルトンはその約束を守ってゴール直前でボッタスを前に出し、そこでベッテルとの差がさらに3ポイント開いてしまったわけだ。
■ハミルトン優先策導入を示唆したヴォルフ
ヴォルフは、この一件に関し、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に次のように語った。
「フェラーリがベッテルを優先していることは明らかだ。一方、我々は2人のドライバーを公平に戦わせるというやり方をとっているが、これでは我々が不利になるということだ」
「過去数年はこのことが問題になることはなかった。タイトル争いは我々のチーム内だけで行われていたからね。だが、今は状況が違っているし、我々もそれに合わせて調整する必要がある」
「これに関して、私はジェームス・アリソン(メルセデスAMG/テクニカルディレクター)と話をしているところだ」
そう語ったヴォルフは次のように付け加えた。
「もうクルマの問題を修正するだけでは不十分なんだ。これまでの数年は異常な選手権だったからね」
■ベッテルとの「事前合意」などないとヴォルフ
一方、現在F1タイトル争いのトップに位置しているベッテルは今年でフェラーリとの契約が満期を迎えることになる。だが、フェラーリではベッテルの残留を望んでいるもののベッテルはまだ新たな契約にサインしていない。
うわさでは、ベッテルはすでにメルセデスAMGとの間で「事前契約」を結んでおり、来季もしくは2019年にメルセデスAMGに移籍するという約束がされているのではないかと言われている。
しかし、この件について質問されたヴォルフは「それは事実ではないよ。我々はセブ(ベッテルの愛称)とは一度も話をしたことがない」と答え、次のように付け加えた。
「我々の基本方針のひとつには、まず自分たちのドライバーと先に話をして続けたいと思うかどうかを確認するということがあるんだ。ハミルトンの契約は2018年で切れるが、今のところ(契約延長に向けて)何の問題もないよ」