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元ホンダF1のロス・ブラウンが掲げた3つの課題とは?F1の「オーバーテイク増加」へ“空力改革”を目指す

2017年03月17日(金)17:46 pm

F1では、現在使用されているDRSのような人為的なシステムを使うことなく、レース中のオーバーテイク(追い抜き)を増やすにはどうすればいいかということを検討するワーキンググループを発足させるようだ。

■DRSに頼らない本当のオーバーテイク実現へ

現在追い抜き支援システムとして使用されているDRSは可変リアウイングによる空気抵抗低減システムだ。サーキットごとに指定された検知ポイントで前車との間隔が1秒以内であれば、その後のストレート部分に設けられるDRS作動可能ゾーンでそのシステムを使うことで一時的に空気抵抗を減らすことができる。これにより、前のクルマを追い抜きやすくなるわけだ。

だが、そうした人為的・人工的な追い抜きが本当に見応えのあるレースを生むことにつながるかどうかについては批判的な意見も多い。

そして、新たなF1オーナーとなったアメリカのリバティ・メディアによってF1のモータースポーツ責任者に指名されたロス・ブラウンは、早速その改革に取り組む姿勢を明らかにしている。

ブラウンは、かつてフェラーリの技術責任者としてミハエル・シューマッハとともに黄金時代を築き、2009年にはホンダワークスチームを引き継いだブラウンGPでF1タイトルを獲得したことで知られる人物だ。

■1年半ほどの検討期間が必要だとブラウン

そのブラウンは、より空力効果が高められ、ワイドタイヤ導入によってスピードアップが図られた2017年のF1カーは評価に値するとしながらも、それによってこれまでよりもオーバーテイクが難しくなる可能性もあるとの懸念があることも承知している。

「もし実際にそうなったとしたら、新たな対策を模索しようという気運を生むだろう」

フランスの『Auto Hebdo(オト・エブド)』にそう語ったブラウンは、次のように続けた。

「それは難しい問題なんだ。我々は速いクルマを望んでいる。だがそうなればコース上ではただ前を行くライバルたちについていくしかないという状況に陥りかねない」

「対策はあるはずだ。だが、そのためには適切な人材を集め、彼らに1年半ほどの時間を与える必要がある」

■現在のテクノロジーなら新対策も可能

以前にもF1でオーバーテイクを増やすことを検討するためのワーキンググループが発足されたこともあった。だが、ブラウンに言わせれば、そのときのメンバーはF1に関する「深い知識がなかった上、当時は今日のような技術もなかった」のだという。

「以前は風洞を使って実験を行っていた。だが、それは妥協せざるを得ないものだったんだ。2台のクルマでテストを行うことはできなかったからね。今ではCFDによって新たなチャンスが生まれている」

ブラウンが言うCFDとは「Computational Fluid Dynamics」の略語で、日本語では「数値流体力学」と呼ばれているものだ。

「我々は高いレベルの空力グリップを持ちながら、クルマの後ろに強い乱気流を起こさないクルマを造る必要があるんだ。多くの者たちがそんなことは不可能だと言うが、私はそれは違うと確信しているよ」

■ブラウンが掲げた3つの課題

そう語ったブラウンは、今回発足させる新たなワーキンググループは、F1商業権を管理するFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)によって直接組織されることになるだろうと語り、そこでは次にあげる3つの課題にいかに対応するかということが検討されることになると次のように付け加えた。

「ひとつは、ファンがそれを理解できるかどうかだ。2つ目は、それにどれだけのコストがかかるかということ。そして3つ目は、それがレースにどういう影響を及ぼすかということだ」

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