ウィリアムズのチーム副代表を務めるクレア・ウィリアムズが、メルセデスAMGへ移籍したバルテリ・ボッタスの後任ドライバー選びに関するエピソードを明かした。
■ロズベルグの引退発表後すぐにメルセデスAMGから連絡
2016年のF1チャンピオンとなったニコ・ロズベルグが電撃的に引退を発表したことで、メルセデスAMGでは急きょその後任ドライバーを探す必要に迫られた。そして、メルセデスAMGを率いるトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)は、すぐにウィリアムズに電話を入れていたという。
クレアは、『Speedweek(スピードウィーク)』にそのときのことを次のように語った。
「ニコの決断の後かなりすぐにトトから電話をもらいました」
「その時点では、私たちにはバルテリとランス・ストロールとの契約がありました。すべてが完了し、明確な状態となっていました。ニコの決断後に出てきた新たなシナリオは私たち全員を困難な状況へと導きました」
■ボッタスのチャンスを奪いたくはなかった
だが、クレアは、チームとしてボッタスからメルセデスAMG移籍のチャンスを奪おうとは考えていなかったと次のように続けた。
「今後のF1チャンピオンという話題になると、最近は常にそこにボッタスの名前も出てきていました。私も彼がどれほどの活躍ができるかを見たいと思っています」
「バルテリは、何年にもわたって私たちのそばで成長してきました。私は、彼にもっといいクルマを与えることができればと願っていたのです。ですが、彼がメルセデスAMGでそのチャンスをつかむことになって私もうれしく思っています」
クレアは、2010年にウィリアムズにテストドライバーとして加入し、2013年のF1デビューから昨年までずっとウィリアムズ一筋できていたボッタスがさらなるチャンスを求めてメルセデスAMGへ移籍したことを前向きにとらえていると主張した。
■スポンサーの意向で25歳以上のドライバーが必要だった
だが、その一方で、ボッタスの後任ドライバー問題に関しては非常に頭を悩まされたとクレアは認めている。
「ルーキーのランスと一緒に走らせるには、経験のあるドライバーが必要だということは分かっていました。そして、スポンサーのマルティニに関しても特別な状況に置かれていたのです」
実際のところ、世界的な酒造会社であるマルティニは、17歳のストロールのチームメートは少なくとも25歳以上のドライバーとするようウィリアムズに働きかけていたのだ。
「問題は、獲得できそうなF1ドライバーはそのほとんどが25歳未満だということです。そのため、私たちにとっては非常に忙しい6週間となりました」とクレアは続けた。
■例年のシーズンオフとは違う忙しさに見舞われた
もちろん、その間2016年シーズン限りでの引退を発表していたフェリペ・マッサをもう一度現役復帰させるための交渉を行っていたということだ。
「退屈ではありませんでしたけれどね」とほほ笑みを浮かべながら語ったクレアは、次のように付け加えた。
「実際のところ、シーズン後はいつも忙しいものなんです。次のシーズンに向けての準備はすでに始まっていますからね。ですが、今回はすべてがいつもとは少し違っていました」