かつて4度F1王座についた元F1ドライバーのアラン・プロストは、今季のF1ドライバーズタイトル争いがこのまますんなりと決まるかどうかはまだ分からないと考えている。
●【最新ポイントランキング】ロズベルグが初タイトル獲得に大きく前進
■今季のF1タイトルに王手寸前のロズベルグ
実際のところ、今季はニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)が初のF1タイトルを手にする可能性が非常に高くなってきている。先週末に鈴鹿サーキットで行われたF1日本GP(第17戦)で今季9勝目をあげたロズベルグは、このレースで3位に終わったチームメートのルイス・ハミルトンとの差を33ポイントに広げている。
つまり、仮にハミルトンが残りの4レースですべて優勝したとしても、ロズベルグが2位をキープすればタイトルはロズベルグのものとなってしまうという状況であり、2014年と2015年に2年連続でハミルトンに敗れたロズベルグにとって、今季はまたとない有利な状況が訪れているのは確かだ。
■ハミルトンのチャンスは消えたも同然?
一方のハミルトンは鈴鹿において記者会見での態度などがメディアで大きく批判的に取り上げられるなどのマイナスイメージも増幅しており、母国イギリスのメディアの中にはロズベルグの9勝に対し6勝しかあげられていないハミルトンはすでに「一巻の終わり」だと報じているものもある。
フランスの『L’Equipe(レキップ)』も、今季はロズベルグがタイトル獲得を逃すとは考えにくいと次のように書いている。
「9レースも勝っているのにチャンピオンになれないなどということがあるだろうか? これは、ニコ・ロズベルグが今シーズンを終えたときに答えなくて済むようにしたいと望んでいる質問だろう」
「だが、このドイツ人(ロズベルグ)は初タイトル獲得に向けてやるべきことはすべてやっている」
■ロズベルグも楽にタイトルを手にするのは難しいだろうとプロスト
だがプロストは、ロズベルグはこれから生みの苦しみ味わうことになるかもしれないと、母国フランスのテレビ局『Canal Plus(カナル・プリュ)』に次のように語った。
「(ロズベルグにとって)あと残り4レースとなった時点でこれだけのリードを持つことができているのは、シーズン序盤の4連続勝利よりもずっといいことだ」
「今後、彼はこのリードを守る必要がある。だが、これからは心理的には楽なものとはならないだろう」
「これほどのリードであっても、それを守るのは決して簡単なことじゃないよ。特に相手がルイス・ハミルトンだけにね」
■ロズベルグがリタイアすれば一気に形勢再逆転も
中には、ロズベルグが現時点でこれほどのリードを築くことができたのは単にハミルトンが本来の力を発揮できていないだけであり、そういう意味では仮にロズベルグがタイトルを取れたとしても、それは「ラッキー」だったと思うべきだと発言している者もいる。
だがプロストは、たとえそれが誰であれ、タイトルを獲得する者には多少の幸運は必要だと語り、次のように付け加えた。
「だが、風向きが変わる可能性もまだ残されているよ。(ロズベルグが)一度でもリタイアすれば、ルイスにチャンスが戻ってくるからね」