昨年はF1シンガポールGPで謎の失速状態に陥ったメルセデスAMGだったが、今年F1タイトル3連覇を狙うルイス・ハミルトンは、また今年も同じようなことが起こるとは考えていないようだ。
■シンガポールで謎の失速に見舞われた昨年のメルセデスAMG
2014年以降圧倒的な強さを誇っているメルセデスAMGだが、今年もここまでの14戦で13勝を遂げ、13回のポールポジションを獲得するなど、その強さにはゆるぎがない。
しかし、そのメルセデスAMGが予選で最前列に1台も残らなかったレースがこれまでに2回だけある。2014年のオーストリアGPと2015年のシンガポールGPだ。このうち2014年のオーストリアGPはクルマには速さがあったものの、ミスによって最前列を逃していた。事実、決勝ではニコ・ロズベルグが優勝を遂げ、9番手スタートだったハミルトンも2位でフィニッシュしている。
ところが、昨年のシンガポールではハミルトンが予選5番手、ロズベルグが6番手という異常とも言える結果となったばかりか、決勝でもセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)にポール・トゥ・ウィンを許し、2位のダニエル・リカルド(レッドブル)、3位のキミ・ライコネン(フェラーリ)に続いてロズベルグが4位でフィニッシュするのがやっとだった。
2014年のシンガポールではメルセデスAMGが最前列を独占し、ハミルトンがポール・トゥ・ウィンを達成していただけにメルセデスAMGにとってシンガポールが苦手なサーキットだと考えられていたわけではなく、2015年の不振はまさに「謎」だと言われたものだった。
■自分たちが有利だとは言えないとメルセデスAMGのボス
ロズベルグは15日(木)に昨年のことを振り返りながら次のように語った。
「昨年はレッドブルとフェラーリにやられてしまった」
「彼らのほうが予選で1.5秒も速かったし、その差はものすごく大きかった」
メルセデスAMGの事実上のチーム代表であるトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)も、2015年のシンガポールGPで起きたことを考えれば、今年もマリーナ・ベイ・ストリート・サーキットでも必ずしも自分たちが有利だとは言えないと語っている。
■今年は大丈夫だとハミルトン
だが、最大のライバルであるチームメートのロズベルグを2ポイント差でリードしているハミルトンは、今年は昨年と同じようなことは起きないだろうとシンガポールの『Straits Times(ストレーツ・タイムス)』に次のように語った。
「昨年は僕たちが何か間違いを犯してしまったという事実に驚かされたよ。だけど、それを理解するために多くの作業が行われた」
「僕は絶対に昨年のように多くの問題を抱えることはないだろうと思っているよ。だけど、もし仮にそうなったとしても、僕たちにはそれを正すための道具があると思っている」とハミルトンは付け加えた。