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ウエットでのセーフティカースタート 原因はタイヤ性能?

2016年08月16日(火)20:00 pm

さまざまな面で安全対策が向上してきている近年のF1だが、一方で少し行き過ぎではないかと指摘されることもある。そのひとつが、最近では雨の中では通常のスタンディングスタートを行わず、セーフティカー先導のもとでレースが開始されることだろう。

■今年もイギリスGPでセーフティカーが先導

ウエットレースとなった今季の第10戦イギリスGP決勝もセーフティカー先導でレースが開始され、観客やテレビ観戦者は5周にわたってセーフティカーの後に続いて走るF1カーの列を眺めることになっていた。

ウエットレースでのスタートに関しては、今後はその運営方法が一部見直される予定になっているが、かつてのように水煙を上げながらスタートしていくF1カーを見るチャンスはそれほど多くはならないと考えられている。

■セーフティカースタートが増えた理由は?

ベテランF1ドライバーのフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)は、こういう状況となった原因のひとつはF1公式タイヤサプライヤーであるピレリが供給する雨用タイヤにあると考えている。

マッサは、母国ブラジルの『UOL(ウニヴェルソ・オンライン)』に次のように語った。

「僕たちが抱えている問題はこれらのタイヤのアクアプレーニングだよ」

アクアプレーニングとは、路面とタイヤの間に水の膜ができることでクルマがグリップを失ってしまう現象のことだ。

■タイヤの性能に問題はないとピレリ

だが、ピレリのF1タイヤ開発責任者であるマリオ・イゾラは、そうした指摘は的を射ていないと次のような反論を行っている。

「雨用タイヤはぬれた路面で走行できるように設計されているんだ」

「すでに激しい雨となった(2015年の)アメリカGPのフリー走行のような状況でも証明されている。タイヤはこういうタイプのコンディションでも機能するよ」

■FIAは安全に少し過敏?

最近、ウエットレースでセーフティカー先導によるスタートが増えたのは、統括団体であるFIAがそうしたコンディションのもとでドライバーたちに多くのリスクを負わせたくないと考えているためかもしれない。

ザウバーのフェリペ・ナッセはこの件について次のように語った。

「普通よりもセーフティ・マージンを大きくとろうとしているように思えるね」

「いい例がイギリスGPだよ。あのとき、僕たちドライバーは少なくとも2周前からレースをスタートできると感じていた。それを決めるのはFIAだけど、僕たちもすでにそのことに関する自分たちの意見を表明したよ」

■新たな案はグリッドから再スタート

今後のウエット状態でのレーススタート方式に関してFIAが提案している解決策は、いったんセーフティカー先導でレースを開始するものの、路面の状況が改善されたと判断された時点で各F1カーがあらためて所定のグリッドにつき、そこから通常のスタンディングスタートでレースを再開するというものだ・

FIAのF1競技委員長を務めるチャーリー・ホワイティングは、「それには全員が賛成してくれそうだよ」と語っている。

■ピレリタイヤの問題はFIAも把握

だが、興味深いことに、ホワイティングもピレリのウエットタイヤに関してはマッサと同じような印象を持っているようだ。

「我々もドライバーたちが雨天用タイヤでのドライビングを好んでいないことが分かっている」

「タイヤの溝がそれほど深くないため、アクアプレーニングが始まってしまうんだ。これらの問題については検討しなくてはならないね」

そう語ったホワイティングは、次のように付け加えた。

「ウエット状態での運転が簡単ではないことは分かっている。だが、これほどだったことはなかったし、ドライバーがアクアプレーンを起こさないようにすることだけを目指しているということで間違いはないよ」

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