コース内を走行しなければならないという「トラックリミット」のルールをめぐって、F1チームとFIA(国際自動車連盟)が対立している。
F1が開催されるサーキットはランオフエリアも舗装されている場合が多く、縁石をはみ出して走行したほうがタイムが上がる個所があるため、「トラックリミット」の違反をどの程度厳密に取るかが問題となっている。
6チームとF1最高責任者のバーニー・エクレストン、FIAからなるストラテジーグループの会議が28日(木)に行われ、メルセデスAMGやフェラーリ、レッドブルは、コース端の白線から4輪がはみ出したかどうかで罰則を科さないようFIAに求めた。
しかし、F1ドイツGP(31日決勝)が始まると、1回目のフリー走行で多くのドライバーが1コーナーでコース外を走行。そのため、2回目のフリー走行からは1コーナーで「トラックリミット」を厳密に適用するとFIAのF1競技委員長チャーリー・ホワイティングがチームに通知した。
■限界を攻める姿はF1にとって良いこと
ホワイティングの対応について、メルセデスAMG非常勤会長で3度のF1王者であるニキ・ラウダは、ブラジルの『Globo(グローボ)』に次のように話している。
「われわれはみんなでチャーリーに求めたんだ。白線を数センチはみ出したからといってドライバーを罰するのはやめてほしいとね」
「ドライバーが限界を攻めている姿は見応えがあるし、F1にとっていいことだとわれわれは訴えた。チャーリーは、賛成ではないけれど要求には応えると言っていた。だが、そうじゃなかったんだ」
■「理解しやすいルールが必要」とラウダ
ドイツGP前のストラテジーグループの会議では、ドライバーへの情報提供を規制する無線に関するルールも撤廃された。
「ことあるごとに“審議中”となる今の状況は終わりにする必要がある」とラウダは語っている。
第11戦ハンガリーGPの予選では、ポールを獲得したメルセデスAMGのニコ・ロズベルグが、黄旗区間で減速したかどうかが問題となり、結果が確定するまでに時間がかかった。
「ブダペスト(ハンガリーGP)でのばかばかしい状況もそうだ。予選から6時間たっても、ニコがポールなのかどうか分からなかった」
「こうしたことを視聴者にどう説明すればいいんだ。クレイジーだよ」
「F1にはもっと理解しやすいルールが必要だ。テレビで見ているものが現実と合致するようにね。今後も結果がコロコロ変わるようではいけない」
「深刻な過ちだよ」とラウダは語っている。