2016年のF1シーズンは序盤こそメルセデスAMGのニコ・ロズベルグが開幕4連勝を飾るなど圧倒的な強さを示したものの、最近ではレッドブルが飛躍的によくなってきている。
■レッドブル躍進、フェラーリ停滞
第5戦スペインGPではメルセデスAMGの同士打ちクラッシュもあり、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が優勝。さらに続く第6戦モナコGPではダニエル・リカルド(レッドブル)がポールポジションを獲得し、レースでもピット作業ミスさえなければ優勝をさらっていたはずだった。
一方、シーズン開幕前はメルセデスAMGの最大のライバルとなるとみなされていたフェラーリだが、ふたを開けてみればトラブルやクラッシュの多発により、期待されたほどの活躍ができていないのが事実だ。
■今年のフェラーリのほうがいいとアロンソ
だが、2014年までフェラーリに在籍していたフェルナンド・アロンソ(マクラーレン・ホンダ)は、今年のフェラーリは昨年よりも改善されていると考えている。
アロンソは2014年シーズン限りに、それまで5年間在籍していたフェラーリを離れ、マクラーレン・ホンダに移籍することを決めていた。そのときアロンソは、このままあと何年も2位で終わるよりは、マクラーレンやホンダと新たなプロジェクトを進めるほうがいいと語っていた。
そのアロンソがこのほどドイツの『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』に次のように語った。
「フェラーリは今年のほうが去年よりもいいよ。昨年は3勝したとは言えメルセデスAMGとの差はもっと大きかった」
■「トラブルさえなければ」とベッテル
アロンソに代わって2015年からフェラーリドライバーとなったセバスチャン・ベッテルも、チームとしては今年のほうが昨年よりも良くなっていると『Telegraph(テレグラフ)』に次のように語った。
「昨年の僕たちは中途半端だった」
「今年は最初から差は小さくなっているし、以前よりも接近している。昨年シーズン序盤ほど順調にレースをすることができていないためだと思うけれど、まだすべてがうまくかみあっていないんだ。それも僕たちが悪いんだけどね」
ここまでの6戦中2レースをトラブルやクラッシュによりノーポイントで終えているベッテルは、現時点ではランキングも5番手に沈んでいる。
フェラーリでは、今週末のF1カナダGP(現地時間12日決勝)では巻き返しを図るための準備を進めていると伝えられている。トラブルが発生していたターボユニットを改善するとともに、新たな空力パーツも投入すると言われている。さらに、予選でタイヤの調整がうまくいかなかったという問題に対応するためにサスペンションにも手を加えたとも報じられている。それらが功を奏するかどうかも、カナダGPの見どころのひとつとなりそうだ。
■メルセデスAMGは強すぎるとアロンソ
アロンソは、現在のメルセデスAMGとフェラーリの力関係について次のように続けた。
「フェラーリはすべてうまくやっているよ。だけどメルセデスAMGがあまりにも強すぎるんだ」
「彼らが2014年にハイブリッドエンジンで築いたリードはものすごく大きかったし、現在もその恩恵に浴している。だけど、2017年に導入されるシャシー変更によって力関係に変化が生じるかもしれないし、フェラーリがまた強いチームになるんじゃないかな」
■要注意はレッドブルだとメルセデスAMG
だが、第5戦スペインGPや第6戦モナコGPでメルセデスAMGの最大のライバルとなっていたのがレッドブルだったのは事実だ。そして、フェラーリはそのレッドブルを再び引きずりおろすことにも苦戦するのではないかと考えている者も少なくない。
メルセデスAMGの実質的なチーム代表であるトト・ヴォルフも、『DPA通信』に次のように語っている。
「我々にとって最大の教訓は、レッドブルがいかに危険な存在となりうるかということだ」
さらに、元F1ドライバーであり、現在はテレビのF1解説者を務めるマルク・スレールもカナダで次のように語った。
「私は、雨になろうがなるまいが、リカルド(ダニエル・リカルド/レッドブル)が勝つと思っているよ」