かつて3度F1タイトルを獲得した伝説的元F1ドライバーであり、現在はメルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダが、先週末のF1メキシコGPで優勝を遂げたニコ・ロズベルグを擁護する発言を行った。
23年ぶりに開催されたメキシコシティでのレースではロズベルグが強さを発揮し、ポールポジションを獲得すると、レースでもトップでチェッカーを受け、すでに今季のタイトル獲得を決めていたチームメートのルイス・ハミルトンに一矢報いる形となった。
だが、ハミルトンはレース後に明らかに不満をあらわにしていた。ロズベルグが2回目のピットインを行い、自分が暫定トップに立ったハミルトンは、そのままピットインせずに最後まで走り切れると考えていた。ところが、チームがそれに対し、ピットインを行うよう指示を出していたのだ。
ハミルトンはレース後に、「チームが(ロズベルグに)味方してやる必要があると感じていたことは知っているよ」と語り、次のように続けていた。
「これに関してどう感じているのか、トト(ヴォルフ/ビジネス担当エグゼクティブディレクター)とニキ(ラウダ)に聞いてみるべきだよ。彼らが裏でこそこそと彼(ロズベルグ)をよろこばせようとしたことについてね」
メキシコの前に行われた第16戦アメリカGPでもロズベルグがポールポジションからスタートしたものの、開始直後のターン1でハミルトンがロズベルグをコース外へ押し出す形で首位の座を奪っていた。これに対し、当初はチーム首脳陣もハミルトンの行為は行き過ぎたものだったとの発言を行っていた。
つまり、ハミルトンに言わせれば、そのときのお返しとして、事実上チームがロズベルグに勝たせるよう仕向けたものだということだ。
だが、ラウダは『Bild(ビルト)』に次のように語った。
「(メキシコでは)ニコのほうが強かったよ」
「1回ストップが主流のレースだった。だが、タイヤの状況は、3番手以下との差を考えれば、2回目のストップを行うことが理にかなっていたんだ」
「ドライバーがどうしたいかは別の話だよ」
ラウダは、アメリカGPでは最終的に自分のミスで勝利を逃し、F1タイトルを獲得するチャンスが消えてしまっていたロズベルグにとって、メキシコで勝利することで反撃ののろしを上げることができたのは理想的なことだったと次のように続けた。
「このレースでは逆の結果になってよかったよ。彼(ロズベルグ)も安定感を取り戻し、戦い続けることができる」
かつてフェラーリで長期にわたってナンバー2ドライバーとのらく印を押され続けてきたフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)も、ロズベルグにはこれからも反撃し続けることが極めて重要だと『UOL Esporte(ウニヴェルソ・オンライン・エスポルチ)』に次のように語った。
「ロズベルグの場合も、状況が彼にとってどんどん悪くなり続けるという可能性がすごく大きいと思うよ」