FIA(国際自動車連盟)の前会長であるマックス・モズレーが、現在のF1ルールに対して不満の声を上げている者たちに対し、「我慢して受け入れろ」と語ったと伝えられている。
レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、無謀とも言えるほど複雑過ぎる技術レギュレーションのもとでメルセデスAMGが独走状態を作っているとの不満を強く表明するとともに、それを改善しようとしないとしてFIAにも非難の矛先を向けていた。
マルコは、「我々はF1においてこうした決断をくだせるリーダーシップを必要としているんだ」と『Speedweek(スピードウィーク)』に語り、「マックス・モズレーがFIA会長だったころのようにね」と付け加えていた。
■一部のチームの都合でルール変更などできない
ひょんな形で自分の名前が使われた74歳となるモズレーは、そのマルコのコメントを笑いとばしながら『Times(タイムズ)』に対し、ルールが変更できるのは全員一致の賛成があった場合だけだと語った。
「全員が合意するとは思えないがね」と続けたモズレーは、次のように付け加えた。
「彼らは全員でこれ(現在のルール)にサインしたんだ。そうであればそれを受け入れるべきだよ」
モズレーは、ひとつのチームが圧倒的な支配力を見せていることをルールのせいにするのは「自分を棚に上げた」論理だと主張している。
「彼らは、自分たちが支配力を持っているときには、それに対して文句など決して言わないよ。文句を言うのは、それとは逆の立場となったときだけだ」
「どこかが圧倒的な力を誇るというのはこのスポーツが持つ性質でもあるんだ。1950年代中盤にメルセデスが支配していたときからそうだった」
■今のF1に問題があるのも事実
だが、モズレーは『City A.M(シティAM)』に対し、現在のF1における収益分配のあり方に苦言を呈し、「もっと公平」に行われるべきだとも語っている。
モズレーは、F1ビジネス記者として知られるクリスチャン・シルトと、ケイト・ヒューイットに対し、「より多くの資金を持っているということは、より大きなエンジンを持っていることとまったく同じだからね」と語っている。
しかし、モズレーは現在のF1チームやエンジンメーカーに対しても批判的だ。
「チームは金を使い過ぎているし、エンジンメーカーはその代金としてあまりにも高過ぎる額を請求している」
『Times(タイムズ)』にそう述べたモズレーは、次のように付け加えた。
「現時点では、ひとつのチームが今後2年か3年にわたって支配するだろうという兆候がある。そして、全員が同意することができなければ、それに対してできることは何もないんだ。だが、そういうことは起こらないだろう」