先週、正式にキャンセルされた伝統のF1ドイツGP。25日(水)には、ホッケンハイムとバーニー・エクレストンが相次いでその責任を否定した。
そもそも7月19日のドイツGP枠をおさえていたのはニュルブルクリンクだった。ところがサーキットの所有権は誰が持っているのかあいまいで、今年1月には、さすがのエクレストンもお手上げの様子だった。「ニュルブルクリンクは無理だ。話の分かる者が誰もいない」
そこで白羽の矢が立ったのは、ニュルブルクリンクと一年おきにドイツGPを主催するホッケンハイムだ。次の順番は2016年だが、取るものもとりあえずエクレストンとの交渉は始まった。
「問題は誰が金銭的なリスクを負うかだ」と25日(水)、ドイツ『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』誌に語ったのはホッケンハイムの経営責任者ゲオルグ・ザイラー。
「中小企業のわれわれには不可能な金額だった。ドイツGPキャンセルの責任はこちらにない」とザイラーはいう。
終いにはサーキットの提供さえ提案したホッケンハイム。場所は貸すからレースを開いてくれ、チケット収入はエクレストンが受け取っていいといった具合だ。
メルセデス・ベンツも救いの手を差し伸べた。報道によると、レース開催で見込まれる赤字の半分を補てんするうえに、宣伝費も出すと申し出たらしい。
ザイラーはこうも語った。「われわれは(ニュルブルクリンクの)代わりになろうとまでいったのだ。むろん金銭のリスクを負うのは御免こうむる。われわれも一企業だ。賭けをするわけにはいかない」
しかし、ザイラーとエクレストンは同意できなかった。
「われわれがチケットを売ってどうする?」と同じく『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』に話すエクレストン。「主催者たるもの、十分な資金の準備があってしかるべきだ」
ドイツ人の元F1ドライバー、ハインツ=ハラルド・フレンツェンは、F1に対する関心低下が主な原因とみている。「見せ物」として魅力を失ったというのだ。
「以前に比べてマシンは誰にでも運転できるようになった」とフレンツェン。「それはテレビ視聴者の目にも明らかだ」
「今どき、F1レースより、ヘルメットにアクションカメラを着けたスケートボーダーの映像を見るほうがよっぽど楽しい」