最近、新たに若手ドライバーを開発ドライバーとして迎え入れたロータスだが、それに対して冷ややかな目が向けられている。
1か月ほど前、ロータスはスペイン出身の女性ドライバー、カルメン・ホルダと契約。26歳のホルダはチームに帯同して各グランプリへ赴くとともに、シミュレーター作業やテストを担当することになるとされている。
だが、これまでGP3シリーズで28位以上の成績を収めたことがないホルダとの契約したことで、ロータスには大きな批判が寄せられることになっていた。
かつて2012年にホルダのチームメートであったロブ・クレーガンは、ホルダにF1カーの開発などできるわけがないとツイッターに書きこんだが、同様のコメントを行ったドライバーも少なくなかった。
ホルダは、自分に向けられたこうした批判に対しては「嫉妬(しっと)」に過ぎないと反論していた。
だが、こうした批判はホルダにだけ向けられていたわけではない。資金集めと宣伝目的のために才能に欠けるドライバーと契約したとしてロータスにも批判が集まっていた。
ところが、ロータスは24日(火)に、カナダ生まれの香港人ドライバーである25歳のアダリー・フォンとも2015年の開発ドライバーとして契約を結んだことを発表。またもそうした批判の声を浴びることとなった。
ロータスが出した声明には、フォンも各グランプリにチームに帯同するとともにシミュレーター作業を担当することを明らかとするとともに、フォンが「初めての中国人F1ドライバーになるという自分のキャリアにおける目標に近づいた」と書かれている。
さらに、ロータスはフォンについて「エンストン(ロータス本部)における復活に向けた活動を進める上での理想的な候補者」だと評している。
フォンは、2014年の最終戦アブダビGPでザウバーから金曜フリー走行1回目に出走していた。
だが、それはフォンの支援者がザウバーからそのシートを買い取っていたものだと信じられている。
かつてマクラーレンなどで活躍し、イギリスで長期にわたってF1解説者を務めているマーティン・ブランドルは、ドイツの『Speedweek(スピードウィーク)』に次のように語った。
「もちろん、F1に中国人ドライバーが誕生するのはいいことだ」
「だが、事実は、フォンは資金力によって雇われたということだ」
『Daily Mail(デイリー・メール)』のフィル・ダンカン記者も、ホルダとフォンは2人合計で5シーズンをGP3で戦っているが、これまでに一度たりとも優勝したり、ポールポジションを獲得したりしたことはないと指摘している。
海外ではタキ・イノウエとして知られる元F1ドライバーの井上隆智穂は、自身のツイッターに次のようなユーモアあふれるつぶやきを行っている。
「銀行口座開発ドライバーがF1で人気を集めているようだ」