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どうなる2015年シーズンのF1? ヘレスで見えてきた新たな疑問

2015年02月04日(水)19:24 pm

スペインのヘレスで行われている今年最初のF1公式シーズン前テストも4日(水)に最終日を迎えるところまできた。だが、各チームの走行ぶりが明らかになるにつれ、答えよりもさらに新たな疑問のほうが増えてきているようだ。

■マクラーレン・ホンダは活躍できるのか?

最も大きな疑問のひとつが、マクラーレン・ホンダだろう。ほかのライバルメーカーに比べると奇妙な音がすると言われているホンダのV6パワーユニットを搭載したMP4-30は、3日目の午前中こそ30周以上の周回をこなすことができたものの、いまだに流す程度の走行しか見せられていない。

こうした状況にマクラーレン・ホンダもさぞ大慌てだろうと思いきや、チーム首脳陣は革命的なエンジンを搭載した「サイズ・ゼロ」と呼ばれるMP4-30に対する自信を揺るがせていないようだ。

3日(火)の午前中になんとか32周を周回することができたものの、午後はまたトラブルによって走ることができずに終わったフェルナンド・アロンソも、ドイツの『DPA通信』に対して次のように語っている。

「遅かれ早かれ、僕たちが望むような状態に到達することは分かっているからね」

■フェラーリSF15-Tの信の実力は?

一方、事前の予想とはうらはらにヘレスで高い競争力を示して見せたのがフェラーリの2015年型車SF15-Tだ。初日、2日目とセバスチャン・ベッテルがトップタイムを刻むと、3日目にもキミ・ライコネンが2番手タイムをマーク。昨年とは明らかに異なる出足のよさを見せている。

だが、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、同じような条件のもとで行われたと考えられるロングランにおいては、レッドブルの2015年型車RB11のほうがフェラーリよりも1周あたり0.8秒ほど速かったようだと指摘している。実際にフェラーリのSF15-Tがレースでどれほどの戦闘力を持つのかは、やはりふたを開けてみないと分からないということのようだ。

■メルセデスAMGの優性は変わらない?

そんな中、F1関係者には、やはり今季もメルセデスAMGが圧倒的な強さを見せつけるだろうと考えている者が多いのは間違いないだろう。

マクラーレンのレーシングディレクターであるエリック・ブーリエは、メルセデスAMGについて次のように驚きの声をあげた。

「恐るべきことに、彼らは初日からすでにピットストップ練習までやっているんだ」

「それは、彼らがどれほど自信を持っているかを示すものだ。彼らは2014年に大きなリードを築いたが、我々ほかのチームは、その差を少しでも縮められるよう願うだけだよ」

■エンジン開発凍結緩和の影響は?

自信を持っているのは確かだろうが、メルセデスAMGもF1のような世界では何が起こっても不思議ではないことも重々承知だ。

「F1というのは容赦のないビジネスなんだ」

そう語ったメルセデスAMGのパディ・ロウ(技術部門エグゼクティブディレクター)は、今年はエンジン開発の凍結が緩和されたことにより、ライバルチームは自分たちに追いつく絶好のチャンスを得たことになると次のように続けた。

「32枚のトークンは非常に気前のよい贈り物だ」

「注意深く考えれば分かることだが、それは基本的にまったく新しいエンジンを造り直すことが可能となる数なんだ」

さらに、ドライバーのニコ・ロズベルグも、ヘレスではすべてが順調に進んでいるわけではないと認めている。

「エンジンは去年ほどスムーズに機能していないんだ。適正なセッティングを見つけていく必要があるよ」

■ルノーエンジンの躍進も?

すべてのトークンと引き換えに開発を精力的に進めることを目指しているのがレッドブルにワークスエンジンを供給するルノーだ。ルノーもマネジメント層を一新し、組織改革を行ってきている。

日ごろあまり表に出ることの少ないレッドブルのチームオーナー、ディートリッヒ・マテシッツも3日(火)にヘレスでのテストの進展状況を見守っていた。

そのマテシッツの目の前で再びルノーのエンジンにトラブルが発生したものの、ルノーでは電子系システムであるパワーユニットの開発にも非常に力を入れて取り組み続けているようだとのうわさもささやかれている。

そして、それと並行してイルモア・エンジニアリングの創設者であり、F1エンジンの大家との評価も高いマリオ・イリエンによってルノーエンジンの改良が進められており、F1がヨーロッパに戻るころには新エンジンがデビューすることになるのではないかと言われている。

■2015年は各チームの実力がきっ抗してくる?

昨年導入された新ルールでの2年目となる今年は、各チームがこれまでの経験を生かして大きく前進を見せるのは当然のことだとも言える。

そんな中、今回のヘレステストでひときわ目を引いたのがザウバーの好調ぶりだろう。単純な比較となるが、ザウバーの2015年型車C34は、1年前に同じヘレスでザウバーの2014年型車が記録したタイムを8.5秒も上回っている。そしてトロロッソがそれに次ぐ7秒、以下、フェラーリが4秒、メルセデスAMGが2秒、そしてウィリアムズが1.5秒となっている。ここまでのところを見る限り、各チームのマシンの性能差が縮まってきていることは間違いないようだ。

昨年と今年ではルールがさほど変わらないため、勢力図にも大きな変化はないだろうというのがこれまでの大方の見方だった。だが、今回のヘレステストにおける各チームの状態を見れば、あながちそうとばかりも言えないかもしれない。

シーズン開幕までバルセロナであと合計8日のテストが残されていることもあり、実際に開幕戦のオーストラリアGPではどういう順番で各チームのマシンがグリッドに並ぶことになるのか、今後に向けてさらに興味が持たれるところだ。

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