大物ドライバーのチーム移籍と今季F1最終戦アブダビGPのチャンピオン争いがひとしきり話題となった、20日(木)のヤス・マリーナ・サーキット。
翌21日(金)は一転、ネガティブな雰囲気に支配される。怒りに燃える小チーム対バーニー・エクレストン、大チーム、CVCのバトル再開だ。
エクレストンとロータス、フォース・インディア、ザウバーの四者会談が開かれるものだが、チーム側は、手を組んで彼らの追い出しを図る体制派に警戒感を強めている。
三チームによるボイコットの恐れこそ無くなったが、実は今、それよりはるかに大きな脅威がエクレストンとFIA(国際自動車連盟)に迫っている。
イギリス『Times(タイムズ)』紙によると、F1運営に”重大な懸念”を抱く同国の政治家アンヌリース・ドッズが、EC(欧州委員会)の競争総局に一通の書簡を送ったのだ。
書簡といえば、三チームが署名入りの手紙をエクレストンに送りつけたのは先週のことだった。F1の権力者たちは「カルテル」を組んで不当に収益を分配しているほか、大チームを中心に”戦略グループ”を構成、独占的に規則を作成しているといった内容だ。
ドッズ氏はいう。「数年前、F1とEU(欧州連合)は競争について合意書を交わした。どうやら、それが守られていないようだ」
『Times(タイムズ)』紙によるとドッズ氏は、書簡に続いて報告書をベルギーのブリュッセルにあるEU本部に送ったという。中身は、戦略グループに関する内部情報と、大チームへのF1収入の払い方である。
EUの興味を引きそうな内容は、それだけではない。FIAとエクレストンの関係だ。FIAは、モータースポーツの規則全般と安全を取り仕切る統括団体として知られる。ところが最近、F1株の1パーセント受諾を含む契約をエクレストンと交わしたのだ。
小チームと権力者たち、それに政治家が加わっての争いに巻き込まれたのが、ウィリアムズ。中規模のプライベート系チームである彼らは今季、好調な戦いぶりを見せるほか、その長い歴史から戦略グループの一角を占めている。
副代表のクレア・ウィリアムズは、次のようにいう。「われわれは両者のあいだに挟まれたかっこうです」
「三チームが置かれた立場に同情はしますが、トップチームたちがいうことも分かるのです」
「また、戦略グループをカルテル呼ばわりするのは賛成しかねます。グループは、メンバーに選ばれなかったチームを含め、全員合意のもとに結成されたのです」
「われわれにとって戦略グループは、政治と無縁のものです。レースの週末のたびに議論をするつもりはありません。他チームがもめごとを起こしたいのなら、それは彼らの問題です」と、ウィリアムズはロシア『f1news.ru.』に語った。