財政苦境に立たされた小規模チームたちによるボイコット騒ぎも起こることとなったF1だが、少しばかり状況改善の方向へと向かうかもしれない。
ケータハムやマルシャが破産手続きに入ったのをきっかけに、ロータス、フォース・インディア、そしてザウバーといった財政的苦境に立たされている小規模チームたちがレースをボイコットするかもしれないとの動きを見せたことにより、F1最高責任者であるバーニー・エクレストンも、これまでの収益分配システムに問題があったようだと、自らの過失を認める発言を行った。
しかし、それでもまだこれらのチームがレースをボイコットする恐れは残されている。それは今週末のF1ブラジルGP(9日決勝)だけでなく、今季の最終戦となるアブダビGPに向けても同様だ。
ロータスのチームオーナーであるジェラルド・ロペスは『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「次のブラジルで解決策を見いだせることを望んでいる。そして最終戦のアブダビまでには合意に達したい」
その言葉には最後通告とも聞こえる響きが含まれている。
■問題は大規模チーム側の反応
エクレストンは1日(土)に、これまでに行った契約の誤りを訂正することを望んでいるという内容の、長く、まじめなコメントを行っていた。
そうなると、当然ながら多くの収益金分配を受けている大規模チームたちのほうへ影響が及ぶことになる。
エクレストンは次のように述べた。
「かなりの額の分配金を得ている人たちに、彼らが受け取るパフォーマンス関連分配金の中から1パーセントをもらいたいと伝えたよ」
「私はそれを資金として、財政難を抱えていることが分かっている3チームか4チームに分配したいと思う。そして私もそれと同額をつぎ込むことにするよ」
最大の問題はこれに対する大規模チームたちの反応だろう。現時点では彼らはその案に対して合意することを拒むのではないかと見られている。
■分配金システム見直しに消極的な大規模チーム
エクレストンとは仲が良いことで知られているレッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーでさえ、今回エクレストンが行った提案は、現在すでに合意された契約があることを考えれば「不公平」なものだと語っている。
アメリカGP(第17戦)が開催された先週末のオースティンで行われた記者会見の際に、チームとしての収入がいくらか減ってしまうことについては受け入れられるか、と質問を受けたマクラーレンのエリック・ブーリエ(レーシングディレクター)は、「ノー」とだけ答えた。
メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは、そのブーリエを擁護するように次のように語っていた。
「我々はエリックが答えたとき笑ってしまったが、彼はそのために給料をもらっているんだ。彼はチームのパフォーマンスを高めるために給料をもらっている。レースにおけるパフォーマンスと、財政的なパフォーマンスの両方をね」
■メルセデスAMGは条件付きながら分配金見直しに歩み寄り
しかし、ケータハムとマルシャがこのまま消え去っていきそうなにおいが漂う中、小規模チームたちによるレース出走ボイコットの可能性も強まったことで、ヴォルフもその考えを少し改めたようだ。
ヴォルフは、3日(月)に『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対して次のように語った。
「このスポーツの利益のために、我々は2、3パーセントの受け取りを放棄してもいい。もしフェラーリとレッドブルもそうするならね」