3つのF1チームが、生き残りをかけた綱渡りのような状態を迎えている。
来季にはチーム数が減少するという可能性のもとに、トップチームには3台をエントリーさせることに関する打診が行われたことが明らかとなって以来、財政的苦境に立たされているチームの状況に関して注目が集まっている。
■来季も参戦すると主張するケータハム
その中で、もっとも存続の危機に瀕(ひん)しているのが小林可夢偉が所属するケータハムだろう。マレーシアのトニー・フェルナデスによって設立されたチームは、今年7月のF1イギリスGP(第9戦)を前にほぼ経営破たんの状態を迎えようとしていたと言われている。
ケータハムは、その後フェルナンデスからスイスで活動するドバイの投資家集団に売却され、参戦を継続しているものの、依然として厳しい財政状況にあるとうわさされている。
だが、ケータハムの新チーム代表であるマンフレディ・ラベットは、F1公式サイトのインタビューの中で、チームにはまだ使える資金があると次のように主張している。
「我々は現在、ケルンにあるトヨタの風洞施設で2015年型車のテストを行っているところだ。もちろん、いくら我々の態度がいいからといって、それだけの理由でケルンでクルマのテストを行うことはできないよ」
「そして、これ(テストのための支払い)を行っているということは、我々が来年もここにいることを完全に宣言していることにほかならないよ」
■継続する自信がなければここにはいないとマルシャ
そのケータハムと常に最下位争いを繰り広げているマルシャも厳しい状況を抱えていることは間違いない。だが、スポーティングディレクターのグレアム・ロウドンはやはりチームが今後もレースを続けていけると主張している。
「まったく問題ないなどといいかげんなことを言って誤った印象を与えたくはないんだ。こうした環境でビジネスを営むことは常に難しいものだからね」
『Sporting Life(スポーティング・ライフ)』にそう語ったロウドンは、次のように続けた。
「我々には適正にビジネスを行うという義務があるし、それができるというふうに自信が持てなければ、そのときはやめるべきだよ」
「もし我々がここにはいられないと考えたとしたら、我々はここにいなかっただろうね」
そして、生き残りをかけて厳しい戦いを続けているもうひとつのチームがザウバーだ。F1で21年の歴史を持つ老舗チームのザウバーも、2009年シーズン限りでBMWが撤退して以来、運に見放されてきている。
■状況は不透明だとザウバー関係者
チーム設立者のペーター・ザウバーや、現チーム代表であり共同オーナーでもあるモニシャ・カルテンボーンは、現在の状況にあっても強気の姿勢を崩していない。だが、チームの状況をよく知る者は、ザウバーの将来はさらに不透明となってきていると認識している。
ザウバーの財政状態を左右するであろうロシア救済契約の中心人物のひとりがオレグ・シロトキンだ。その息子であるセルゲイ・シロトキンは、当初はザウバーのレースシートを確保するものと考えられていた。
だが、現時点ではそのシロトキンの今後についてもはっきりとした見通しは立たない状況だ。
オレグは、ロシアのウェブサイト『f1news.ru』に次のように語っている。
「私の考えでは五分五分だね」
「多くの問題があるが、そのひとつが、いくつかのチームが不安定な状況に置かれていることだ。彼らが来季も残っていられるかどうかさえはっきりしないからね」
そう語ったオレグは、次のように付け加えた。
「例えば、我々もザウバーと密接な関係を持っているが、彼らも問題を抱えているように見える」