ル・マン・シリーズとも呼ばれるWEC(世界耐久選手権)で活躍するアンドレ・ロッテラーとマーク・ウェバーが、現在参戦しているWECやスーパーフォーミュラとF1との比較を行っている。
アウディのワークスドライバーとしてWECの最高峰カテゴリーであるLMP1カテゴリーで昨年度のチャンピオンドライバーとなったロッテラーは、今年のF1ベルギーGP(第12戦)で小林可夢偉に代わってケータハムで初のF1レースを経験していた。だが、次戦イタリアGPへの出走も打診されたロッテラーだが、その要請を断ったと報じられている。
若いころ、F1のジャガーでテストドライバーを務めたこともあるロッテラーは、もう少しでF1ドライバーへ昇格するところまできていたことがある。しかし、ロッテラーは『NBC』に対し、「それはかなわなかったけれど、僕はすごく満足できる素晴らしいキャリアを積んできたよ」と語った。
■スーパーフォーミュラのコーナリングスピードは世界一
32歳のロッテラーは、アウディからWECに出走していることを「素晴らしいこと」だとしつつも、並行して参戦している日本の最高峰フォーミュラシリーズであるスーパーフォーミュラについて次のように語った。
「一方で、僕はコーナーでは世界でも最も純粋な速さを示すレースカーに乗っている。スーパーフォーミュラでね」
「非常に正確に走るクルマで、レースが終わって欲しくないと思うほどさ。まさに望んだ通りの動きをしてくれるんだ。スポーツという観点では、(WECとスーパーフォーミュラ)両方の組み合わせはとてもいいよ」
ロッテラーも、メディアにおける取り上げられ方ということに関してはスーパーフォーミュラがF1にかなうものでないことは認めている。
■F1はもはやかつてのようなレースはできない
「レースについてあまりよく知らない人たちは、F1が最高のものだと考えているだろうね」
「だけど、レースという観点から見れば、F1もかつてのようなものではなくなっているよ。自分でレースをしてみてそれがよく分かった」
「タイヤはグリップしないし、コーナーでのダウンフォースも少ない。アクセル全開で攻めることなんてできないんだ。それでも、いい経験をさせてもらったけれどね」
ロッテラーは、今年F1を経験したものの、今後F1参戦を目指すつもりはないとほのめかした。それはモータースポーツの最高峰シリーズであるF1の現在の状況によるものだと、次のように続けた。
「F1もチャレンジしがいはあるかもしれない。でも33歳の僕としては、もっといいチャレンジの機会を目指したいんだ」
「何が言いたいかというと、チームに2、3年もいれば、蓄えもできるし、健全な生活もできる。でも、F1では3つか4つのトップチーム以外には、そういう条件を提示できるところはないからね」
「7年か8年前にはもっと参戦チームも多かったけれど、今はいい時代ではないね」
■WECとF1、一番違うのはダウンフォースとタイヤ
一方、昨年までレッドブルに在籍し、F1キャリア通算13勝の記録を持つマーク・ウェバーもWECとF1の違いについて語っている。ウェバーは今季からポルシェに所属し、ロッテラー同様WECのLMP1カテゴリーでレースを行っている。
「F1とプロトタイプ(LMP1クラスのレーシングカー)の一番大きな違いはダウンフォースだね」
スペインの『El Confidencial(エル・コンフィデンシアル)』にそう語ったウェバーは、次のように続けた。
「あとは、タイヤだよ」
「(WECで使用される)ミシュランは本物のレース用タイヤだ。誰もがそのタイヤでレースを楽しむことができる。一方で、F1のピレリタイヤはショービジネスのためのタイヤだよ」