レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、ダニエル・リカルドのチャンピオン争いを手助けするためにチームオーダーを出すことは今のところ考えていないと話した。
今年のチャンピオン争いは、圧倒的な強さを見せるメルセデスAMGの2人が一騎打ちの様相で、それ以外で唯一現実的な可能性がありそうなのが現在ランキング3位につけているリカルドだ。
F1第14戦シンガポールGPでは、終盤にリカルドがチームメートで現チャンピオンのセバスチャン・ベッテルのすぐ後方まで迫ったが、チームは順位を入れ替える指示を出さなかった。
「われわれが置かれた状況を考えれば、介入するのは間違っている。ご覧の通り、われわれは2人をレースさせる」とホーナー。
「ダニエルもレース前、というかその少し前から、そうなるということを承知していた」
「ダニエルが勝てる現実的な可能性があり、セバスチャンが計算上でもチャンピオン争いから脱落したのなら、もちろんチームのために最善のことをする。だが、現在の状況はと言うと、可能性は非常に低い」
シンガポールGPでは、メルセデスAMGのニコ・ロズベルグがリタイアし、ルイス・ハミルトンが優勝した。リカルドは3位フィニッシュして、ハミルトンとは60ポイント差、ロズベルグとは57ポイント差になった。
また、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、ホーナーが次のように語ったと伝えている。
「メルセデスとの差はとてつもなく大きい」
「確かに、ロズベルグに対してダニエルは少し追いついたが、同時にセバスチャンに対して失ったポイントは3ポイントだ。それがどんな違いを生むことになるか。それは何とも言えない」
「だが今のところ、われわれが介入する意味はない」
ホーナーはこう続けた。
「まだどちらにも計算上は可能性がある。言った通り、その可能性は小さいとしてもね」
「だから、本人たちがコース上でどう戦うか次第だ。2人とも何とかとどまっているし、2人ともニコに対してかなり追い上げた」
■チームの決定を受け入れるリカルド
一方リカルド本人は、この問題をチームと話し合ったことを認め、チームオーダーを出さないという決定を受け入れていると語った。
「チームメートとレースで戦えるのは気持ちがいいよ」とリカルド。
「僕たちは何度か素晴らしいバトルをやってきた。これから数戦もこういうふうに続くなら、それで問題ないし、フェアなことだ」
リカルドはチームオーダーを出してほしいかどうかを聞かれると明言を避け、次のように答えた。
「言えることがあるとすれば、助けなしで前に出てやるぞ、とよけいハングリーになったよ」
「僕たちは堂々とレースで戦う。フェアだよ。それに、彼が助けてくれたら僕が絶対に勝つというわけでもない」
「可能性は低いんだ」とリカルドも認める。
「ちょっとしたチームオーダーより、少しの運のほうが必要だよ。どちらが前だろうと、前にとどまることが認められるべきだ」