2014年DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)でここまで四勝を上げ、残り二戦で早々に王座を獲得した24才のマルコ・ヴィットマン(BMW)。だが、F1について彼の考えは現実的だ。
DTMタイトルを取ってF1に上がった先例といえばポール・ディ・レスタだが、今のところヴィットマンはDTMに満足しているという。
彼は先週末の第8戦ラウジッツリンクでチームRMGのBMWに乗って6位に入り、2014年DTMドライバーズ選手権を制した。
DTM王者はりっぱな肩書だ。モータースポーツ最高峰への転向を考えても不思議ではないが、ヴィットマンは次のようにいう。「いま現在、F1が話題に上ることはない」
「BMWでDTMを戦えれば、僕はそれで満足だ」と、彼はドイツ『Speedweek(スピードウィーク)』に語った。
ヴィットマンがF1に及び腰となっている大きな理由は、肥大化する「ペイドライバー」の存在だ。
「若い選手が大金入りのスーツケースを持ってレーシングチームのドアを叩くんだ。それってドライバー目線でみると、スポーツとはいえないよね」と話すヴィットマン。
彼と同じ考えの持ち主がもう一人、DTMにいる。F1を撤退したトヨタに乗っていたティモ・グロックだ。2012年が終わってマルシャのシートを失った彼は現在、ヴィットマンと同じくBMWを駆っている。
グロックはいう。「スーツケースに金が詰まっていないかぎり、F1を考えるだけ無駄だ」
「どこかのトップチームに選んでもらうか、誰かに一年の参戦費用を負担させるしかない」
「ただし、その先は何の保証もない」と語る32才のグロック。
「わずか一年の参戦で500万から1,000万ユーロ(約7億~13億9,000万円)もかかるなんて、ひどい話じゃないか。しかも、さらに大きな財布を持ったドライバーが現れないとも限らない」
F1のこうした状況に、ヴィットマンのような才能あふれるドライバーの多くが自問自答していると、グロックはいう。「もしF1の契約を結ぶとして、一年だけのためにすべてを投げ打ち、大金を払わなければいけないのか?」
「もし私が彼(ヴィットマン)のマネージャーなら、BMWに留まるよう進言するね」