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メルセデスAMGのトップエンジニア、かつて更迭されたフェラーリを語る

2014年08月06日(水)20:11 pm

メルセデスAMGのエンジニアリングディレクターであるアルド・コスタが、かつて在籍していたフェラーリが低迷を続けているのを見るのは「残念だ」と語った。

2007年にキミ・ライコネンがF1タイトルを獲得して以来ドライバータイトルから見放され、チーム別ランキングでも2008年を最後にトップの座に返り咲くことができずにいるフェラーリ。そのフェラーリでテクニカルディレクターを務めていたコスタは、2011年5月に市販車部門への異動という更迭の憂き目に遭っていた。

その後正式にフェラーリを離脱したコスタは、2012年からメルセデスAMGのエンジニアリングディレクター職に就いている。

普段はイギリスのブラックリーにあるメルセデスAMGのファクトリーを拠点にしているコスタだが、現在は夏休みを利用して故郷のイタリアに戻っている。

不振のフェラーリへ復帰するつもりはないか、とフェラーリ専属のジャーナリストであるレオ・トゥッリーニに質問されたコスタは次のように答えた。

「フェラーリ? 実際のところ、私は今いるところに満足しているんだ」

トゥッリーニの『Quotidiano(クオティディアーノ)』のブログには、さらに次のようなコスタのコメントが紹介されている。

「フェラーリについて話をしなくてはだめかな?」

「それじゃ、私が残念に思っていると書いておいてくれないか。本当の気持ちだ」

そう語ったコスタは、次のように続けている。

■メルセデスAMGが警戒しているのはレッドブル
「私はエミリア人(イタリアのエミリア・ロマーニャ州の出身)で、神話的存在の会社(フェラーリ)で働いていた。彼らが今F1でやっている仕事のレベルは私としても喜ぶことはできないよ。たとえ、彼らが洗練されたとは言えないやり方で私を追い出したにしてもね」

「とは言え、私は2015年にメルセデスAMGにとって脅威となるのは赤いチームだとは思っていない。我々はレッドブルがそうなるのではないかと心配している。彼らはすでに非常に素早い対応を見せたし、今もそれを持続しているからね」

フェラーリが抱えている問題の中で一番大きなものは何かと尋ねられたコスタは次のように答えている。

■フェラーリの結果はすべてモンテゼモーロが導いたもの
「私の意見であり、絶対に正しいとは言えない。だが、戦略的な展望において、非常に深刻な間違いを犯したと言える」

「例えば、2008年には、レースに携わる者として競争力を維持し続けるには新しい風洞を持つことが不可欠だと考えていた。でも、それは必要ないと言われたよ」

「フェラーリでは、すべての戦略的決定は常にモンテゼモーロ(ルカ・ディ・モンテゼモーロ/フェラーリ会長)によってなされるんだ。フェラーリが勝利したときも、フェラーリが勝ちから見放されたときも、すべて彼の決断がもたらしたものだ。それははっきりしている」

■アロンソは謎めいた人物だった
だが、コスタがフェラーリを更迭されたとき、その背景にはチーム内で強い影響力を持つナンバー1ドライバーのフェルナンド・アロンソがそれを強要したのではないかとうわさされていた。

これに関し、コスタは次のように続けた。

「アロンソが私を望んでいたとは思っていないよ。彼がクルマに乗っているときは素晴らしいと思う。だが、クルマから降りたときの彼を理解することはまったくできなかった。私にとって彼は何を考えているのか分からない、謎めいた人物だったよ」

「彼がメルセデスAMGに来るとは思わない。ハミルトンが我々のようなチームから去ろうとする理由もないと思う」

■前代表のドメニカリとはときどき連絡を取り合っている
コスタが、フェラーリを追い出されたことにまだわだかまりを持っていることは明らかだ。現在フェラーリでチーフデザイナーを務めているニコラス・トンバジスのことを尋ねられたコスタは、当時、自分がいることでギリシャ人デザイナーであるトンバジスの創造性を生かすことができないのではないかとのうわさがあったことを思い出しながら、次のように語った。

「私が去った後、彼(トンバジス)の想像力が解放され、みんなの目の前に結果として現れたんじゃないのかな。違うかい?」

さらに、今年4月にフェラーリを追われた元チーム代表のステファノ・ドメニカリについて話を向けられたコスタは、次のように続けた。

「ドメニカリ? 恨んでなどいないし、ときどきメールを交換しているよ。フェラーリは彼や私の過去の一部だし、マルモリーニ(ルカ・マルモリーニ/前フェラーリエンジン責任者)やほかの大勢にとってもそれは同じだ」

■メルセデスAMGで大きな満足感を得ているとコスタ
実際のところ、コスタにはもはや恨みを抱く必要もないだろう。今季のメルセデスAMGはめったに見られないほどの圧倒的な強さを見せ、彼のメルセデスAMGでのキャリアは今まさに最高潮の時期を迎えているからだ。

「プロとしては幸せな時期を迎えているし、大きな満足感を得たりなどしていないと言えばうそになるだろう」とコスタ。

「メルセデスAMGには12人のイタリア人がいるんだ。12人のエンジニアがね。私自身が彼らを採用したんだ。何人かはフェラーリから引き抜いたし、そのほかの者は大学からまっすぐに入社している。多国籍のメンバーが集まっている中で、我々は小さなイタリア人共同体を形成しているよ」

そう語ったコスタは、さらに次のように続けた。

「私はすでに2015年のプロジェクトに取り組んでいる。それは私と同じ仕事をしている者なら誰にとっても普通のことだ」

「今季はもうあまりレース現場には行くことはないだろう。せいぜいベルギー(8月24日決勝)かモンツァ(イタリアGP/9月7日決勝)くらいかな。私にはもうほかに優先すべきものがあるからね」とコスタは締めくくっている。

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