F1カナダGP(第7戦)では、ついに開幕戦から続いていたメルセデスAMGの連勝に終止符が打たれた。だが、メルセデスAMGでは今後もチームオーダーの発令などは考えていないと主張した。
メルセデスAMGの今季型車W05を駆るニコ・ロズベルグとルイス・ハミルトンは、カナダのジル・ビルヌーブ・サーキットにおいてもその力を示し、ライバルたちに大きな差を築きながらレースを展開していた。ところが、その後どちらのクルマにも技術的問題が発生してしまった。
1998年のマクラーレンのペアであったミカ・ハッキネンとデビッド・クルサードと同じように、もしロズベルグとハミルトンがチームオーダーのもとでレースをしていたならば、そういう問題は起こらなかったのではないかと考える者もいる。
現在はイギリスのテレビ局『BBC』で解説者を務めるクルサードは、信頼性に不安が残る中、事前に決められていた合意のもとにハッキネンが優勝を遂げたその年のメルボルンでの開幕戦を振り返りながら次のように語った。
「あのときは傷ついたよ。でも、それによってチームが1-2フィニッシュできたんだ」
カナダにおいて、今季のF1タイトル争いのライバル同士であるハミルトンとロズベルグがお互いに激しい戦いを繰り広げていたのは明らかだ。2人はスタート直後の第1コーナーから第2コーナーにかけてもう少しでクラッシュしそうな状態となったのを始め、さらにその後、ロズベルグがハミルトンの攻撃をしのごうとしてシケインをショートカットしてしまうほどだった。
ハミルトンが最終的にリタイアに追い込まれたのは、技術的な問題が発生しているにもかかわらずハードに攻めすぎたことがその原因だったのではないかと言われている。一方のロズベルグは、クルマが問題を抱えていながらも、巧みにそれをあやつっていた。
元F1ドライバーのクリスチャン・ダナーは、これに関して次のように述べている。
「ルイスはニコと同じときにブレーキに問題を抱えていた。だが、彼はそれにすぐに対応することができなかったんだ」
「そして彼はレースを失い、ニコはゴールまでたどり着いた」
メルセデスAMGの非常勤会長であるニキ・ラウダもその意見に合意し、「ニコは神のように運転したよ。まさにF1チャンピオンクラスだった」と語っている。
クルサードは、こうした状況を受け、メルセデスAMGも今後チームオーダーの発令を考えるのではないかと次のように語った。
「もしシーズン後半に信頼性の問題が今回(カナダGP)と同じようにギリギリの線までに達するようなことがあったとき、メルセデスAMGの姿勢が変化するかどうか面白くなりそうだね」
だが、ここまでチームオーダーは出さないという方針を貫いてきているメルセデスAMGでは、今後もそれを変えるつもりはないようだ。
ヴォルフは、『La Presse(プレス)』に次のように語った。
「みなさんが我々もチームオーダーを出すべきだというのは勝手だが、それは我々の主義ではないんだ」
「ドライバーはどちらも完ぺきだった。スローダウンさせることで結果は改善できていたかもしれない。だが、それは我々がやりたいと望んでいることではないし、間違いなく観客もそんなことは望まないからね」