スージー・ヴォルフは、子供ができたらモーターレースから引退する考えであることを明らかにした。
メルセデスAMGの役員トト・ヴォルフの妻であるスージーは今季、ウィリアムズのリザーブドライバーに昇格している。7月に開催される第9戦F1イギリスGPと第10戦F1ドイツGPでは、金曜日午前のフリー走行を担当する予定だ。
「ずっとF1で走ることを目指してがんばってきました。先週、それに大きく近づいたの」とスージーは『Telegraph(テレグラフ)』に語った。
「いま必要なのは、そのチャンスよ。夢を実現させるためなら、何だってやるつもりよ」
男性優位のモータースポーツ界において、スージーは周囲からなかなか真剣に受け止められずにきた。中には、スージーが今回リザーブドライバーに抜擢されたのも、ウィリアムズによる話題作りに過ぎないと考える者もいる。
『Motor Sport(モーター・スポーツ)』誌の編集者サイモン・アーロンは、イギリス紙『Times(タイムズ)』に「男女を問わず、F1のフリー走行を担当するのにふさわしいドライバーはたくさんいる」と述べた。
「マーケティング戦略の一環なのかは分からないが、スージーにはF1で走れるだけの実績がない」とアーロンは指摘する。
その一方で、元F1ドライバーのデビッド・クルサードは、スージーが間違いなくトップレベルのドライバーであると話す。クルサードは、過去にドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)でスージーに何度か敗れている。
「F1ドライバーになれるだけのスピードを彼女が持ち合わせているかって? 私にはまったく分からないね」
「彼女にはチャンスがある。結果を残せば今後も続けるだろうし、もしだめだったら辞めるだろう。やがて明らかになることだ」とクルサードは語った。
しかし、スージーが今後、どれくらいドライバーとしてのキャリアを続けていくのか定かではない。
スピードを追い求めるより、母親になりたいとの衝動が勝ったら、退くつもりであることをスージーは認めている。
「もし実際に家庭を持つことになったら、再びレースをするつもりはないよ」
「子供が欲しいし、子供ができたら、レースを辞めなくちゃいけないことは分かっているわ。自分を頼りにしている子供が家で待っているって知りながら自分の身を危険にさらすことなんてできないもの」
「今のところ、自分の人生をおう歌しているけど、子供が欲しいという気持ちがレースに対する気持ちを上回るときがいつかはやって来ると思うの。だから、今はそのときが来るのを待っている状態ね」とスージーは打ち明けた。