今季フォース・インディアへ復帰したニコ・ヒュルケンベルグが、新たな時代を迎えることとなる今シーズンのF1カーが遅くなり過ぎないことを期待している。
これまで、V12、V10そしてV8の自然吸気エンジンによる時代が長く続いてきたF1だが、2014年からは、エネルギー回生システムによって洗練された「環境に優しい」V6ターボエンジンが導入されることになっている。
だが、新しいパワーユニットを搭載したF1カーは、少なくとも2014年においては、2013年シーズンよりも1周あたり3秒から4秒ほど遅くなり、F1の下位カテゴリーであるGP2と同じようなスピードになるのではないかと不安の声を上げる者もいる。
そのようなパフォーマンスレベルになれば失望するか、とドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に尋ねられたヒュルケンベルグは次のように答えた。
「そうなれば、間違った方向へ進むことになるね」
「F1は究極の存在でなければならないんだ」
「もし、4秒も遅くなることになれば、GP2のクルマとF1カーが非常に近づいてしまい、もはや両者の違いがはっきりしなくなるよ」
だが、昨年はザウバーでドライブしていたヒュルケンベルグは、そうした不安の根拠となるデータを持っていないことも認めている。というのも、彼はまだフォース・インディアのシミュレーターで2014年型車を体験していないからだ。
「フォース・インディアにもシミュレーターはあるよ。でも、ソフトウエアやモデルがまだ2014年用になっていないんだ。だから、それを使ってテストしても意味がないんだ」
そう語ったヒュルケンベルグは、次のように付け加えた。
「僕たちはまだ様子見の段階だね」
しかし、ヒュルケンベルグは少なくともフォース・インディアの新車であるVJM07は目にしている。だが、それについてどう考えればよいかはまだよく分からないと、次のように語った。
「当然ながら、幅の狭くなったフロントウイングや独特のノーズは見た目にはちょっと変な感じだよ。あまりカッコよくはないね」
昨年は、フェラーリやマクラーレン、そしてロータスへの移籍のうわさがささやかれたこともあるヒュルケンベルグだが、今年は大規模チームが小規模なライバルチームに対してアドバンテージを持つことになるだろうと考えているようだ。
「これまでのシーズンよりも、もっと自由になるからね」
「大規模チームは予算も大きいから、開発スピードにおいて有利になるんだ」
そう語ったヒュルケンベルグは、さらに次のように続けた。
「でも、新しいルールによって、小規模チームにとってもほかのチームよりもうまくやれるチャンスも出てくるんだ。2009年のブラウンGPを考えてみれば分かるだろう」
「その反面、まずい方向へ進んでしまうことだってある。どちらも可能性があるんだ」とヒュルケンベルグは結んでいる。