キミ・ライコネン(ロータス)は、次のF1韓国GP(10月6日決勝)欠場の可能性を否定していない。
第13戦シンガポールGPで13番手グリッドから見事3位表彰台に入ったライコネンだが、レースウィークの3日間にわたって背中の痛みに苦しみ、予選欠場の危険もあった。
ライコネンについては、来年フェラーリに移籍が決まっており、その理由を報酬未払いと明かしたことでチームとの関係がぎくしゃくしていると伝えられる。今回の「ケガ」をそれと結びつけて仮病ではないかと疑う者もいた。
しかし、マクラーレンのチームドクターで、ライコネンと同じフィンランド人であるアキ・ヒンツァは『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』紙に対し、ライコネンの治療にあたったことを認めている。ヒンツァは、ライコネンにコルチゾンを注射したという。
「彼を走れる状態にできたことを喜んでいる」とヒンツァは話した。
ヒンツァによると、ライコネンは肋骨(ろっこつ)と背骨をつなぐ部分を痛めており、それが「ひどい痛み」を引き起こしているという。ライコネンは、2週間後の韓国GPに間に合うかどうかについて明言を避けた。
『AFP通信』によると、韓国GPまでに回復するかという質問に対し、ライコネンは「確実じゃない」と答え、「見てみるしかない」と話している。
シンガポールGPの開幕前にライコネンは、ロータスが報酬未払いで契約違反を犯しているため、2013年シーズンはもう出走する義務がないと示唆していた。これを今回の負傷と結びつけようとする者もいる。
「レースが好きだ。ここにいる理由はそれだけだ」とライコネンは話していた。
ライコネンとロータスの溝が深まっているのは間違いないようだ。
レース後にトラックサイドオペレーションズディレクターのアラン・パーメインは、ライコネンが3位に入ったことについて次のように語っている。「もちろんチームにとっていいことだし、キミにとっても良かった」
「だが、ロマン(グロージャン/チームメート)にトラブルが出なければ、彼(ライコネン)を倒していただろう。それが分かって良かったよ」とパーメインは『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』紙に話している。
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、ライコネンが現在、チーム首脳陣と携帯のメールでしかやり取りしていないと伝えている。
チーム会長のジェラルド・ロペスは、ライコネンが報酬未払いを公表したことを批判している。
「キミのことは好きだ」とロペスはスペインの『Marca(マルカ)』紙にコメント。「ドライバーとして素晴らしい。だが、キミが本当にパスタのためだけにフェラーリへ移るのなら、質問されるべきはフェラーリだと思うね。我々じゃない」
神経質になっている様子のロペスだが、それは、ライコネンのコメントと、ロータスが大きな負債に苦しんでいるといううわさが重なったためだろう。
ライコネン同様に報酬を受け取っていないエンジニアが多数チームを離れようとしているという報道もあるが、ロペスは『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し、事実ではないと否定した。
「5人が去った。だが同時にニコラ・ヘンネルをフェラーリから獲得する。ほかにも数人いる」
「我々は、ホイールベースを長くしたクルマを作った唯一のチームだ。半分新車と言えるもので、コストは7ケタ(数億円)に上る。われわれはキミに真剣だと示した」
「彼に良いクルマと良い環境を与えたんだ。今彼がああしたことを言っているのは、我々にも、彼にもふさわしくない」