2013年のF1もヨーロッパでの戦いを終え、アジア、南米、中東へと転戦し、今年の王者を決することになる。
・開催サーキット
シンガポールGPが行われるのは、マリーナベイ・ストリート・サーキット。シンガポールの公道を封鎖して作られる、観光名所をつないだような市街地サーキットだ。
市街地コースということもあり、低速コーナーが中心のレイアウトになっている。そのため、高速コーナーを速く駆け抜けるクルマではなく、ブレーキング時の安定性と、低速コーナーからの加速に優れたクルマが勝利へのカギとなる。
また、公道を使ったコースのため、路面のでこぼこが多い。このでこぼこによってクルマが不安定になってしまうことから、でこぼこにうまく対応できる足回りにすることも欠かせない。そして、赤道直下で熱帯に位置するため、湿度と気温が高く、路面のでこぼこと合わせ、ドライバーにとっては1年で1番体力的に厳しいコースとも言われる。
・F1唯一のナイトレース
シンガポールGPは、F1で唯一のナイトレースとして開催される。夜間のレースであるため、コースは大量の照明によって照らし出され、暗闇の街にコースが光の帯として浮かび上がり、シンガポールにしかない幻想的な魅力があるコースだ。
雨が降った場合には、路面の水に照明の光が反射する可能性もあると指摘されているが、2008年の初開催以来、この問題が実際に起こったことはない。しかし、シンガポールでは毎日のように夕方から夜にかけて雨が降るため、天候には注意が必要だ。
・セーフティカー出動率100%
初開催以来、シンガポールGPでは毎年セーフティカーが導入されている。路面がでこぼこであるため、ミスを犯しやすいことや、ガードレールに囲まれたコースであることから、ミスがクラッシュに直結しやすく、クラッシュした場合にはそのクルマがコースをふさぐ可能性が高いためだ。
セーフティカーが出動した場合、そのタイミングでピットインするか、しないかという判断がレースの勝敗を分ける重要な要素になる。また、もう1つレース戦略を左右する大きな要素となるタイヤは、最も軟らかいスーパーソフトと、それよりも2段階硬いミディアムが持ち込まれる。スーパーソフトはタイヤ側面のロゴなどが赤、ミディアムは白で書かれる。決勝では、雨用のタイヤを使わない限り、この2種類のタイヤ両方を使用しなければならない。
・優勝争いは?
現在ランキングで首位に立つセバスチャン・ベッテル擁するレッドブル勢が、今回も優勝争いの中心に来るだろう。そして、中盤戦から決勝での速さに安定感が出てきたメルセデスAMG勢も優勝候補に加わると思われる。
コース特性が似ている今年のモナコGPでニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)、ハンガリーGPではルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が優勝しており、ドライバー側もコース特性がクルマに合っているはずだと自信を見せていた。
そして、キミ・ライコネン(ロータス)やフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)など、決勝で強さを見せるドライバーの存在も忘れられない。シンガポールは特に、セーフティカーの出動などで荒れた展開になることが多いため、そういった状況で強さを発揮するアロンソなどがチャンスを生かしてくることも十分に予想される。
唯一のナイトレースである2013年F1第13戦シンガポールGPは、20日(金)現地時間18時(日本時間19時)に開幕。決勝は22日(日)現地時間20時(日本時間21時)にスタートする。