セバスチャン・ベッテル(レッドブル)が22日(木)、自身にはカリスマ性が不足しているという意見に対して、F1の最高権威者であるバーニー・エクレストンが「からかっている」と発言した際にうっかり不適切な表現を使用してしまった。
11月4日(日)に開催された第18戦F1アブダビGP決勝レース後の表彰台でのインタビューで、キミ・ライコネン(ロータス)とセバスチャン・ベッテル(レッドブル)が不適切な表現を用いたために、F1を統括するFIA(国際自動車連盟)から公の場での言葉遣いに気を付けるよう各チームとドライバーに勧告が出されていた。
その発言後、ベッテルは手で口を覆って「すまない」とうっかりミスを謝罪した。そして「多分、彼(エクレストン)は新聞の記事でふざけていただけだよ」と言い直した。
それはF1ブラジルGP(11月25日)決勝を目前に控えた中で、気が緩んだ瞬間でもあった。しかし、今シーズンのドライバーズタイトル獲得がかかったレースが目前に控えているため、F1界はいつも以上に真剣な空気に包まれている。
報道陣によると、ベッテルはFIA主催の記者会見でいつものようにジョークを飛ばしていたが、ベッテルとタイトルの座を争っているフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)だけがその場にいた関係者の中で唯一笑っていなかったとのことだ。
ベッテルに13ポイントの差を付けられ、レッドブルほどの速さがないフェラーリで戦うアロンソは、あらゆる手段を尽くしている。
前戦のF1アメリカGP(11月18日決勝)でフェラーリは、アロンソよりも上位の予選順位を獲得したチームメートのフェリペ・マッサのギアボックスを交換すること(※)で、アロンソのスタート順位を上げる戦略を採った。これについて質問されたアロンソは、その決断を「誇り」に思うと語った。
そして、アロンソはレッドブルの振る舞いは偽善的であること暗に指摘した。
「僕たちが複数のチームに対していくつかの疑問を抱いていた今シーズンの序盤にまでさかのぼる必要はない。彼らがどの順位でスタートするかは、彼らが見付けたルールの解釈の度合いによるだろうね」とアロンソは述べている。
しかし、ベッテルはレッドブルが採ったのは、フェラーリのように疑問を呈するやり方とは「別の方法」であると主張している。
同時に、ベッテルが2010年から楽勝でドライバーズ選手権を連覇できているのは、レッドブルのクルマの抜きん出た競争力のお陰であるという意見に反論した。
ベッテルはフランスの『autohebdo.fr』に対し、「僕が覚えている限り、最悪のクルマで特筆するほどの成功を収めたドライバーは存在したことがないね」と語っている。
※現行のルールでは、5レース毎に1回のギアボックスの交換が認められている。そのルールに従わなかった場合は、5グリッド降格ペナルティーを受けなければならない。