NEXT...F1開催スケジュール

佐藤琢磨「WECは非常に興味深い」=WEC

2012年10月11日(木)20:28 pm

世界耐久選手権(WEC)第7戦富士と第8戦上海にOAKレーシングから参戦が決まった佐藤琢磨。これまでオープンホイールのクルマでレースをしている琢磨にとって、今回初めてスポーツカータイプのクルマでレースに出走する。今週末の富士(10月14日決勝)にむけて準備を進めている琢磨に話しを聞いた。

Q: 耐久レースに参戦するのは、初めてですよね。

佐藤琢磨(以下、琢磨):そうです、初めてです。ずっともちろん、ル・マン24時間耐久レースを頂点に、スポーツカータイプの耐久シリーズに興味があったのですが、カテゴリーが大きく違いますし、僕はずっとシングルシーターのカテゴリーを走ってきましたから、今まで縁がなかったといえば縁がありませんでした。

Q: 興味自体はあったのですね。

琢磨:ありましたね、国内ではGTの盛り上がりがすごいですし、いろんなクルマが走っていて、見ていても楽しいですよね。ル・マン24時間は、あれだけ大きなイベントっていうのはすごいと思いますし、ここ数年ワークスチームの参戦で、すごい盛り上がってきているのは知っていました。なかなかF1にしろインディにしろ、シーズンに集中すると他のカテゴリーを走ることはなかなかできません。今季のインディカーは9月いっぱいで終わって、例年になく早く終わってしまったので、10月と11月は、ある意味オープンになっていました。今年はインディジャパンがなかった分、フォーミュラ・ニッポンで1年間応援してくれるファンの前で、日本で走れるという機会を得ることができました。自分が参戦しているシーズンが終わっても、自分の中でのシーズンはまだ終わらないという感じがしています。そこでWEC参戦が決まって、突然忙しくなりました。毎週いろんなところに飛んでいますが、すごく自分のなかでは、耐久選手権の参戦っていうのは、新しいチャレンジでもありますし、自分のドライビングの枠も耐久を走ることによって広がるだろうなっていうのがあったので、非常に興味深いです。

Q: このシリーズのクルマに乗るのは、先週が初めてでしたよね。

琢磨:フォンタナ(インディカー最終戦9月15日実施)を終わってすぐ2日後に飛行機乗って日本に帰国しました。フォーミュラ・ニッポンに参戦して、それが終わったら2日後にパリに飛んで、ル・マンに初めて行ってチームと顔合わせして、シート合わせして、シェイクダウンをしました。そのあとモナコに1回帰ってから再び日本に来ました。それですぐ富士でのレースです。ですので、10日くらい前に乗ったのが初めてですね。

Q: F1、インディを乗ってきて、今度は耐久レースに挑戦します。走っていて何か違いがありますか?

琢磨:それぞれ、大きく違うと思うのです。特に今までのオープンホイールのフォーミュラカーとか、全然ちがうカテゴリーだと思っています。実際耐久レースのクルマに乗っていても、フロントタイヤが見えないのです。レーシングカーに乗って、フロントタイヤが見えないっていうのは初めてですから、違和感がすごいありますね。オフセットして座っているから、左コーナーにむけてのエイペックスが遠かったりとかしますね。そういうフィジカル的な違いっていうのはすごいあります。ただ、LMP1カーはやっぱり巨大なタイヤをつけていますし、カーボンブレーキですし、エンジンパワーもありますし、ダウンフォースも発生します。そういう意味ではエンジンレイアウトも含めて、フォーミュラカーに近いレーシングカーと思いますね。もちろん、慣れるまである程度の時間は要しますけども、そんなにフォーミュラカーとかけ離れている感じではないですね。

Q: 素性としては、フォーミュラに似ているということですね。

琢磨:そうですね、GTではないですね。プロトタイプやスポーツカー、いろんな呼び方がありますが、ものすごく速いカウルをかぶったクルマなんですよ。もちろん、慣れなければいけない部分、新しい部分っていうのがたくさんありますけれど、それにドライビングスタイルを調整させていくっていうのは、おもしろいですし、結構楽しんで走っています。

Q: ストレートスピード的には、F1、インディ、フォーミュラ・ニッポンを走ってきて、スポーツカーとは違いますか?

琢磨:やっぱり、加速感が違いますね。F1はパワーもありますし、クルマも軽いので、コーナー出口から最高速付近に到達するまでの時間っていうのはあっというまですね。シフトチェンジも忙しいですが、すぐに加速していって、あっというまに空気抵抗との境界線に達するわけです。トップスピードに達するまでがあっという間でそこからが長いみたいな感じです。一方、WECシリーズのスポーツカーは重さもあるから加速までに時間がかかりますし、一応ボディカウルがあって、空気抵抗とダウンフォースももちろん兼ね合いなのですが、いつまでも車速が伸びていく感じですね。もちろん、F1ほど巨大なダウンフォースが発生しませんが、空気抵抗は小さかったりします。加速からトップスピードにいくまでがかなり違います。

Q: スポーツカーでは、コーナーの出口とかでもたつきを感じますか?

琢磨:もちろん、重さからくるものやタイヤのパフォーマンスもありますが、もちろん重さは感じます。それに合わせたクルマのリアクションも遅いですから、それに合わせたドライビングが必要なのです。それは今勉強中です。

Q: 合同テストが終了し、練習走行は金曜日と土曜日ですね。

琢磨:そうですね、金曜と土曜です。誰が予選を走るのかはまだ決まっていません。1台のレースカーをシェアするのも初めてです。ドライビングポジションもセットアップも3人で共有しなければいけませんし、それぞれに妥協しなければいけない部分があったりしますが、それも非常に興味深いところです。シェイクダウンをやったときに、ドライビングポジションで結構苦労して、今回富士でそれぞれ3人のドライバーのシートを作り直し、うまく妥協点をみつけることができました。昨日(9日)いちにちかけてシートフィッティングをしたおかげで、今日無事に3人とも走れて良かったです。

Q: 調整できるのは、シートのみですよね。

琢磨:今までは、全部自分に合うようにミリ単位でカスタマイズされていたものが、今回はとりあえずこれに合わせてやりなさいということになります。ベルトとかシートポジションもいくつか我慢しなければいけないところもありますが、問題ありません。クルマの違いですが、パワーステアリングがついていたり、トラクションコントロールがあったりします。F1時代でトラクションコントロールは経験があるので、その経験からも、少しずつ良くなっている感じはします。

Q: どこまでいけそうな感覚がありますか?

琢磨:もうちょっと良くなると思いますけど、ただ正直にいって今週末は結構厳しそうですね。もちろん、OAKレーシングがこれまでマニファクチャラーとしていろんなパーツを作れますが、持ってきたエアロパッケージそのものは、かなりダウンフォースを削っている状態です。今、トップスピードは全車の中で一番速いんですよ。アウディ、トヨタより速くて、ちょっとストレートが伸びすぎな状態です。裏をかえせばダウンフォースがついていないということで、セクター2、セクター3は非常に苦労しています。それをなんとか、メカニカルグリップを増やす方向で、チームが試行錯誤していて、今日3人で走って、いいデータがたくさんとれたからだいぶ良くなると思います。

前後の記事
最新ニュースをもっと見る  >
TopNewsの最新ニュースが読めるよ!
facebookフォロー Twitterフォロー RSSでチェック