ビタリー・ペトロフ(ケーターハム)のF1ドライバーとしてのキャリアが危機に瀕(ひん)しているようだ。というのも、マネジャーであるオクサナ・コサチェンコがこのほどペトロフの2013年シーズンのシート獲得に向けた交渉から手を引くことを明らかにしたためだ。
コサチェンコは、25日(火)にロシアの『RIA Novosti(ロシア・ノーボスチ通信社)』に対し、ペトロフのスポンサー資金が底をついてしまったと語っている。
コサチェンコは、これまで来季のシート獲得に向けて3、4チームと交渉を行っていたことを明らかにするとともに、次のように続けた。
「もう時間切れです」
「すべての財政的な可能性を確固たるものにするには時間が必要ですし、交渉を続ける意味があるかどうかを考えなければなりません」
「資金がなければ、ドライバーも存在し得ませんからね」
コサチェンコは先月、ロシア政府がペトロフに対する支援を打ち切ったことを明かしていたが、その支援は実質的に政府の支配下に置かれているロシア・ヘリコプターと化学品メーカーのシブルがスポンサーとして付く形で実施されていたものだ。
ペトロフは昨シーズンまではロータス・ルノーGP(現ロータス)に所属していたが、シーズン終了とともにそのシートを喪失。その後他チームと水面下での交渉を行い、今シーズンの開幕ギリギリの時点でヤルノ・トゥルーリのシートを奪い取る形でケーターハム移籍を決めていた。だが、コサチェンコは、今年の冬をそうした緊急的な交渉を行うために過ごすことはないだろうと語るとともに、ペトロフにはF1の代わりに「別のプロジェクト」の可能性を探ることになるだろうとしている。
こうしたことから、ペトロフとケーターハムの関係が終わりを迎えてしまうことはほぼ確実であるようだ。
一方、ケーターハムのチーム代表であるトニー・フェルナンデスは、シンガポールGP後のメディア向けリリースの中で、同チームのドライバーであるヘイキ・コバライネンの今後について、すぐに前向きな発表ができるだろうとほのめかしていた。
コサチェンコはこの件について次のようにコメントしている。
「トニー(フェルナンデス)が明るいニュースを持っているということは大変喜ばしいことです」
「でも、私たちとしては、そのニュースが何かクルマの開発などに関係するもので、ヘイキ(コバライネン)に関するものではなければうれしいんですけどね」