不況がヨーロッパから全世界に波及する中、各界で経費削減が求められており、F1もその例外ではない。
ギリシャの経済破綻に端を発するヨーロッパの不況は、今や全世界に影響を及ぼそうとしている。F1でもコスト削減が急務である、と主張しているのはフェラーリ会長のルカ・ディ・モンテゼモーロだ。
イタリア国内では経済支援要請について議論が高まっており、また複数のフェラーリの主要スポンサーやスペインのサンタンデール銀行が格下げの憂き目にあっている。
F1の本場ヨーロッパを襲うこの事態に、モンテゼモーロは次のようにコメントしている。「経済界の状況、なかでもヨーロッパの状況は非常に深刻でありF1界もこの事実を無視できない」
「ムダにできる時間は残されていない。早急にこの件に取り組み、コスト問題に結論を出すべきだ」
「フェラーリは、大規模な介入が必要だとするFIA(国際自動車連盟)の考えに同調している」
モンテゼモーロのコメントは、チームとFIAが結ぶコンコルド協定(※)の満了を見すえてのものであり、新コンコルド協定に予算制限を盛り込むことを複数のチームが求めている。
F1が置かれた状況を打破するには予算制限が妥当だとの意見を述べたのは、元トロ・ロッソのドライバーであるハイメ・アルグエルスアリだ。もし自分がF1の責任者だったらどうするかをスペインの『AS』紙に尋ねられたアルグエルスアリは「予算制限だ」と応じ、次のように続けている。
「風洞でのテストにも今以上の条件をつけるね」
「F1では、ドライバーたちは空力に頼っているところが大きいし、この分野に3億ユーロ(約300億円)のコストをかけているチームもある」
「それから、新しい技術を開発したチームには5ポイントを与えるね」とアルグエルスアリは語った。
※コンコルド協定とは、F1チームとF1の商業権管理会社FOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)、そして統括団体FIA(国際自動車連盟)の3者によって結ばれている協定で、F1の運営方法や収益の分配方法などが規定されている。現行の協定は2012年末が期限となっており、チーム側が新協定での商業収入分配の増額を求めるなど、新協定締結に向けた交渉に注目が集まっていた