F1の統括機関であるFIA(国際自動車連盟)は、マレーシアGPにおけるセバスチャン・ベッテル(レッドブル)のジェスチャーに対してペナルティーが科せられるかもしれない、との推測を一蹴した。
入賞圏内を走行中にナレイン・カーティケヤン(HRT)からタイヤをパンクさせられ結局11位に終わったベッテルは、レース後カーティケヤンに「馬鹿野郎!」と詰め寄った。
実際、F1マシンに取り付けられたカメラには、カーティケヤンに対して“中指を立てるポーズ”をするベッテルの姿が2度も映っている。
ドイツのある情報筋は、この振る舞いがFIAの定めるF1ドライバーの行動規範に違反するものであり、スーパーライセンス(F1に参戦するために必要不可欠なライセンス)のはく奪もあり得るかもしれない、と示唆した。
しかし、FIAのスポークスマンは、「こういった問題は、FIAのスチュワード(審査員)たちによって裁定がなされる。みんなが考えているようなこと(ベッテルのライセンスはく奪などのうわさ)に関して、私は何も聞いていない」と語った。
なお、レース後20秒加算のペナルティーを受けたカーティケヤンは、インド紙『Hindustan Times(ヒンダスタン・タイムス)』に対して、評議員たちはベッテルの説明に納得したようだと語った。
「スチュワードたちに対してベッテルは、何が起きたのかは神のみが知る、と語ったんだ。そのせいか、スチュワードは僕の言うことに耳を傾けてくれなかったよ」
一方、レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、「ベッテルに対して道を譲るべきだった。よって、これはカーティケヤンに責任がある」と語り、ベッテルを擁護している。
また、フォース・インディアのドライバーであるニコ・ヒュルケンベルグは、ベッテルのことを幾分かは大目に見ているようだ。「ベッテルは少しだけ感情的になっていたみたいだね。まあ彼も人間なんだし、そういうこともあると思うよ」と『Times of India(タイムズ・オブ・インディア)』がヒュルケンベルグのコメントを掲載した。
2011年までファース・インディアのドライバーを務めたエイドリアン・スーティルは、ドイツ紙『Die Welt(ディー・ヴェルト)』に対し次のように語った。
「ベッテルの言い分もわからなくはないよ。僕自身、周回遅れのマシンには何度も悩まされたからね。それにカーティケヤンはバトンのレースにも影響を及ぼしたじゃないか。周回遅れのドライバーは、自分たちの立場をわきまえないといけないよね」