昨年、政治情勢悪化によりキャンセルされたバーレーンGPだが、今年のF1カレンダーには第4戦(4月22日決勝)として組み込まれている。しかし、さらなる国内情勢の悪化により、今年も再び同グランプリがキャンセルされるのではないかとの憶測が強くなってきた。
昨年、サヒールにあるバーレーン・インターナショナル・サーキットで実施される予定となっていたシーズン前のテスト、そしてバーレーンGPが暴動の発生による国内治安悪化のためキャンセルされた。そしてその暴動の際、政府が群衆に対して過剰とも言える鎮圧を行っていたことも明らかとなり、F1を開催すべきではないと語る関係者やドライバーもいた。
F1最高責任者のバーニー・エクレストンは先月、『Guardian(ガーディアン)』紙に対して、次のように述べている。
「われわれは、そうしたことは起こっていないと確信していたよ。報道では何と言っているんだい? ああ、そういうことやら何やらがあったかもしれない。しかし、私はバーレーンへ行きたかった。喜んで行きたかった。刑務所でも病院でも、どこへでも行って、実際に何が起こったんだ? と尋ねたかったよ」
「(2012年に)バーレーンへ行けること、そして何の問題も起きないことを望んでいる。レースが行われ、誰もが満足し、もう劇的な事態にはならない。それが私の望みだ」
しかし、そのエクレストンの望みも今やしぼんでしまいそうだ。今週バーレーンの首都マナマでデモ行進が暴力を伴わずに行われた際、そこへ向けて発射された催涙ガスによって1人の女性が死亡したと報じられた。
これで昨年の11月以降だけでも犠牲者はすでに3人目を数える。11月には警察の車両にはねられ1人が死亡しており、12月にはやはり催涙ガスの筒が頭を直撃したことで10代の少年が命を落としている。
先月、もしバーレーンでは深刻な問題が今も継続しているという確かな証拠が示されれば、2012年のバーレーンGPをキャンセルすることを検討するか、と尋ねられたエクレストンは次のように答えていた。
「そうなれば慎重に検討しなくてはならないだろう。しかし、われわれはアルゼンチンで大きな問題が発生していたときもレースを行った。ブラジルでも同じようなことが起こってきた。今、どこを見渡したとしても、すべてがいい状態だとは言えないだろう」
また、エクレストンは同じ昨年12月に『Al Jazeera(アルジャジーラ)』の取材も受けており、そこでは次のように語っていた。
「確かに問題はある。しかし私は、彼らが最終的にその原因をつきとめ、それを解決すると固く信じているよ」