ブラジル『O Estado de S.Paulo(オ・エスタード・ジ・サンパウロ)』紙は、パストール・マルドナードがウィリアムズを抜ければフェリペ・マッサ(フェラーリ)に朗報といった記事を掲載した。
同紙のリヴィオ・オリッキオ記者によると、現在、マルドナードの代理人とスポンサー、それにウィリアムズの首脳たちが話し合いを行っているのだという。
マルドナードを支援するベネズエラの国営石油会社PDVSAとウィリアムズには契約が残っているが、肝心のマルドナードは、チームにほとほと愛想が尽きているという。
ウィリアムズも何らかのトラブルがあることを認めている。
「あれこれ変更して、こんなに反応が鈍いマシンは今まで見たことがない」とドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌に話すのは、古株のチームマネジャー、ディッキー・スタンフォードだ。マルドナードは、このFW35で今季1ポイント(第10戦ハンガリーGPの10位入賞)しか記録していない。
2012年には第5戦スペインGPで優勝経験もあるマルドナードだが、あるチームスタッフによると、ドライバー本人にも問題があるという。
「とにかく今もドライビングミスが多すぎる」というのだ。
「韓国GP決勝の最終スティントで、われわれは口を酸っぱくして右前輪をいたわるよう彼にいったんだ。それと、できればバトルは避けてほしいとね」
「すると、彼はどうしたと思う? めちゃくちゃな運転をして3周でタイヤをダメにしてしまったんだ」
鈴鹿サーキットで行われたF1第15戦日本GP決勝でも、たかだか16位フィニッシュのために最後ラップのシケインで無理やりチームメートのバルテリ・ボッタスを抜いて、チームのお偉方をカンカンに怒らせたという。
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』と『O Estado de S.Paulo(オ・エスタード・ジ・サンパウロ)』は共に、マルドナードがキミ・ライコネンの抜けるロータスのシートを狙っていると報じたが、果たしてどうだろうか。
ロータスはニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)を入れたがっているというが、その話も、クァンタムと呼ばれる投資家集団が最終的に同チーム株の35%を買い取るかどうかにかかっている。
「彼ら(クァンタム)は口を開けば“あわてるな、金は出す”というが、何か起きた試しがない」と、ロータスの情報筋はオリッキオ記者に話す。
マルドナードが食い込む余地は、そこにある。彼を支えるPDVSAはウィリアムズに年間3,500万ユーロ(約46億5,500万円)を払っていて、契約期間はまだ2年残っている。
しかし、オリッキオ記者によると、マルドナード側とウィリアムズのあいだでこれを破棄する交渉が行われているのだ。
PDVSAがウィリアムズに違約金を払って契約を終了する可能性が指摘される中、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』のミハエル・シュミット記者は、チーム副代表のクレア・ウィリアムズが最近、ベネズエラの首都カラカスに飛んだとの情報を掴んだ。
オリッキオ記者もまた、日本GP以降、契約終了交渉が熱を帯びてきたと伝えている。
マルドナードのマネジメントを担当するのはニコラ・トッドだ。彼がマルドナードとウィリアムズの関係解消に熱心なのは、もうひとりのクライアントであるフェリペ・マッサの将来が関係しているからかもしれない。
マッサもマッサで、ブラジルの石油会社ペトロブラスを含むスポンサーから600万ユーロ(約7億9,800万円)をかき集めたという。フェラーリのシートを失ったマッサは、その金で2014年の移籍先を探している。
トッドはいう。「確かにパストールは今季、不振に陥っている。だがポイント争いができないのはマシンのせいだ」
「彼らには対策が急がれている。そこで前々から新しい人々を雇い入れている。来年(ウィリアムズ)は、フェリペにとって有力な選択肢となるだろう」