メルセデスAMGの運命がF1の統括団体FIA(国際自動車連盟)の手に委ねられている中、パリのコンコルド広場は20日(木)に大きな注目を浴びることになるだろう。
FIAのジャン・トッド会長による国際法廷でピレリタイヤを使ってバルセロナで行われた「秘密F1テスト」に対する制裁措置として、メルセデスAMGに対するなんらかの処罰が下されると見られている。
「重い処罰を心配している」とドイツ紙『Bild(ビルト)』に語ったのは元F1ドライバーのクリスチャン・ダナーだ。
「規則が役割を果たさないと、F1のようなスポーツは存続できない」と話すダナーは、この件でさらなる展開があると考える。
「誰が過ちを犯したかによって、メルセデスAMGもしくはFIAの誰かの首が飛ぶ可能性もある」
これは、メルセデスAMGのチーム代表を務めるロス・ブラウンが生けにえとして更迭されるのではないか、とのうわさに合致する。『Welt(ヴェルト)』紙によれば、ブラウンはメルセデスAMGのほかの首脳陣であるニキ・ラウダやトト・ヴォルフをともなわず、パリ入りすると思われる。
さらに、FIAでF1の競技委員長を務めるチャーリー・ホワイティングの地位も危うくなるかもしれないとの報道もある。『Guardian(ガーディアン)』紙は、ホワイティングが不当にテストを許可したメールをブラウンが所持していると報じた。
「何も隠すことなどない」とヴォルフは『Welt(ヴェルト)』紙にコメント。
「書類の準備は整った。20日(木)に判決が下され、受け入れられるものかどうかを判断することになる」
「この判決で何かを目指しているわけではない。無罪判決でなければならないとも言っていないし、あてにしている判決も特にない」
「わたしたちはただ、不当な行為は一切していないと信じている」とヴォルフは語った。
それにもかかわらず、万が一FIAがメルセデスAMGに対して厳しい措置をとった場合、同チームの運命が危機にさらされるだろうとささやかれている。
今回の「タイヤゲート」スキャンダルにより、メルセデスの親会社であるダイムラーの株主が、メルセデスAMGをF1活動から撤退させるための新たな口実を手にしたことは確かだ。
「このグループがF1に費やしているばく大な費用は、まったくもって何の利益をももたらしていない」とダイムラーの株主であるユニオン・インベストメントのミハエル・ミュダースは指摘する。
さらに、「私どもの考えでは、メルセデスがF1を代表するチームであるがゆえに売れたクルマは1台たりともない」とミュダースは加えた。
一方で、メルセデスからエンジンの提供を受けるマクラーレンのドライバー、ジェンソン・バトンは、20日(木)の聴聞会を前に性急に判断を下すことはしなかった。バルセロナでのテストでメルセデスAMGが不当にアドバンテージを得たと思うかと尋ねられ、次のように答えた。
「ドライバーはふたり(ルイス・ハミルトン/ニコ・ロズベルグ)ともノーと言っている」
「もしアドバンテージを受けているのなら、ふたりともうそをついているということさ」とドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に述べた。
「僕は彼らを信じている」