ダニエル・リチャルド(トロ・ロッソ)が、前戦F1モナコGPでロメ・グロジャン(ロータス)を「ばか者」と呼んだことを認め、グロジャンへの批判は止まる様子がない。
2012年シーズンはマーク・ウェバー(レッドブル)から「1周めの狂人」と名付けられるほどレース序盤に他車と接触していたグロジャンは、シーズン中盤にレース出場停止処分まで受けた。今年に入って一時は鳴りを潜めたかに思えたその荒っぽい走りは、先日のモナコGPでまたしても牙をむき、リチャルドはクルマのリアを損傷して1年でもっとも華やかなレースをリタイアしなくてはならなかった。
このリチャルドとのクラッシュへのペナルティーとして、グロジャンには次戦F1カナダGP(9日決勝)での10グリッド降格が言い渡されているが、決勝スタートの場所どころかF1での居場所すら危ういのではないか、とこのところ盛んに報じられている。
リチャルドは、グロジャンとのクラッシュに怒りを感じたと認め、こう話している。
「憂さ晴らしがしたくても、グロジャンに向かって叫んだり怒鳴ったりしてるひまなんてなかったんだ」
「ものすごく残念で不満の残る週末だったし、『ふざけるな、何を考えてるんだ』って騒いで体力をむだにしたくなかった」
「僕はただ、『君はとんだばか者だね』って言っただけだよ」
オーストラリアのパース出身で、常に笑顔を絶やさないリチャルドは気のいい若者だと見られがちだが、その実、明るい笑顔の裏には厳しい一面を持っているのだと1981年のF1ワールドチャンピオンであるアラン・ジョーンズが語っていた。
リチャルド本人も、ロシアの『f1news.ru』にこう話している。「二面性は誰にでもあるものだよ。僕はたいていの場合ニコニコ笑顔でいるけど、ヘルメットをかぶったら笑顔なんて誰にも、どこにも見あたらないさ」