ミハエル・シューマッハ(メルセデスAMG)は、メルセデスAMGがルイス・ハミルトン(マクラーレン)と交渉していることを以前から把握していたようだ。
1991年にF1デビューを果たしたシューマッハは通算91勝と7度のF1王座という前人未到の記録を打ち立て、2006年に一度現役を引退した。そして3年間のブランクを経て2010年よりメルセデスGP(現メルセデスAMG)から再びF1の世界に舞い戻ってきた。しかし、これまでのところ期待されていたような成績を収められておらず、復帰以降で表彰台に上ったのは、今シーズンの第8戦F1ヨーロッパGPで3位入賞を果たしたときだけだ。
そのシューマッハとメルセデスAMGの契約は今期で満了を迎えることになっていた。来年以降に向けてチームと話し合いを続けていたシューマッハだが、自身が決断を下す前にハミルトンの加入が発表され、シューマッハは来季2度目の引退をすることになった。
そのような形でハミルトンにシートを譲ることになったシューマッハだが、ハミルトンの加入に向け、献身的にサポートを行っているとメルセデスAMGのチーム代表ロス・ブラウンは語る。
「ルイスとミハエルとの話し合いは並行して行われていた」
「ハミルトンに対して初めてコンタクトをとったのは冬だった。彼とマクラーレンの契約が今年で終わることは誰もが知っていたからね。そして同じようにミハエルにも声を掛けていた」
「ミハエルはわれわれがハミルトンと話し合いを行っていることを、ずっと知っていた。そして彼はいつもチームにとってベストなことを考えていた」
「ミハエルはわれわれにルイスを雇うチャンスを見逃して欲しくなかったんだ」とブラウンはハミルトン加入の経緯を語った。
ハミルトンがシューマッハはより優れている点は何かという質問をされたブラウンは、「まだ分からない」と答えた。
「彼(ハミルトン)の最も優れた資質のひとつが、彼の持っている素晴らしいスピードであることあることは明らかだ。ミハエルはとても速いし、信じられない才能を持っている。ほかの誰がそのレベルのパフォーマンスを発揮できるか? 間違いなく、ルイスだ」
「彼が何をもたらしてくれるかは、いまだに分からない。しかし、それが何であったとしても、ミハエルと同じレベルのものになるだろう」とブラウンは締めくくった。