レッドブルが2012年のタイトル最有力候補に一気に躍り出たのは新しい“ダブルDRS”のおかげだ、と言い切るのは少しうかつすぎるようだ。
ダブルDRSとは、直線でのスピードを上げるために導入されたDRS(空気抵抗低減システム/可変リアウイング)をさらに応用させたシステムであり、メルセデスAMGが他チームに先駆けて導入し、今ではレッドブルをはじめとするほかのチームにも広がっている。
セバスチャン・ベッテル(レッドブル)は第14戦のシンガポールGPと第15戦日本GPで連勝し、ポイントリーダーのフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)との差を一気に4ポイントへ縮めた。そこで注目されたのが、トップスピードを上げるためレッドブルのクルマに取り付けられた新システム“トップスピード・ブースティングシステム”だ。
レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、「こういったものに特効薬はない。鈴鹿におけるクルマのパフォーマンスが純粋にリアウイングによるものだったのか判断するのは難しい」と考える。
「われわれはすべての分野で前進したし、細部にわたって地道に取り組んだ」
現に、ドイツ紙『Der Tagesspiegel(ターゲス・シュピーゲル)』は、ウィリアムズのチーフオペレーションズエンジニアを務めるマーク・ ジランもレッドブルの速さの秘密がほかにもあると考えていると語り、「関連性のあるすべてのタイムとレースデータを細かく分析する必要がある。そうすればレッドブルが何をしたのか分かるはずだ」とするジランのコメントを伝えている。
元F1ドライバーで現在はドイツのテレビ局『RTL』で解説者として活躍するクリスチャン・ダナーは、レッドブルが新しいエキゾーストレイアウトのレギュレーションに触れない範囲内で、スイートスポットを見つけたのではないかと考え、次のように語った。
「ほとんどの場合、こういったケースに空力が関わっている。それに、近頃のクルマは、ほとんどが独自の緻密なエキゾーストの解決法を持っている」