ザウバーでの3年目を迎えた小林可夢偉。今季は戦略がうまくかみ合わないなど、不運なレースが続いているが、日本GPで巻き返しを狙う可夢偉に注目だ。
控えドライバーを務めていたトヨタが2009年にF1から撤退したため、F1での将来が閉ざされたかに思われた可夢偉。しかし、2009年の終盤2戦でF1デビューを果たし、F1界に鮮烈な印象を残していたことから、ザウバーと2010年の契約を結ぶことに成功した。そしてこのシーズンは、決して競争力の高くないクルマで奮闘。オーバーテイクと呼ばれるコース上での追い抜きを繰り返し、F1の公式ウェブサイトでも「オーバーテイク・キング」と紹介するほどだった。
そして可夢偉は、鈴鹿サーキットで行われた日本GPでも、次々にライバルをコース上で抜き去っていった。クルマにダメージを受けるほど激しいバトルを繰り広げた可夢偉の走りに、鈴鹿だけではなく世界中のF1ファンが興奮した。2011年はルーキーのセルジオ・ペレスがチームメートになり、チームリーダーという立場になった可夢偉はコンスタントにポイントを獲得する安定感を見せ、成長ぶりをアピールした。
しかし今季は、戦略がうまくかみ合わないレースも多く、思うように成績を残すことができずにいる。ペレスが天候の変化や、うまく決まったタイヤ戦略を味方につけて2度の表彰台を獲得し、来季のマクラーレン入りが決まっただけに、可夢偉もペレスに負けない活躍を見せたいところだ。
ザウバーは日本GPに向けて新パーツの投入を予定。可夢偉本人も「良い結果を出せる自信がある」と力強いコメントを残している。改良されたクルマで戦う可夢偉の活躍に期待したい。