ザウバーの2012年型車C31は、ザウバーF1チームの長い歴史の中でも最高傑作だと、チーム設立者であり、現チーム代表のペーター・ザウバーが語っている。
スイスに本拠を構えるザウバーF1チームがメルセデスの支援のもとにF1にデビューしたのは1993年のことだった。そして、BMWがオーナーとなっていた時期の2008年第7戦カナダGPではロバート・クビサによって優勝も遂げている。
しかし、先週末に行われたカナダGP決勝でセルジオ・ペレスが3位表彰台を獲得した後、ザウバー代表は、ザウバーF1チームの長い歴史の中でも今季のC31が最高のクルマだと話している。
だがザウバー代表は、予選ペースの改善が課題だとスイスの『Blick(ブリック)』紙へ述べた。
「その通りだ。われわれは予選でもっと改善する必要がある」
今季第2戦マレーシアGPでは、ペレスが優勝を飾ったフェラーリのフェルナンド・アロンソに次いで2位表彰台に上っていた。しかし、ザウバー代表は次のように続けている。
「私にとって今回の(カナダGPでの)結果は、マレーシアでの2位よりももっと価値があるよ」
「カナダは全く普通のレースだったからね。雨も降らず、セーフティカーも入らず、(ペレスの前からスタートしたドライバーのうち)リタイアしたのはシューマッハ(ミハエル/メルセデスAMG)だけだったんだ」
「繰り返すが、ヒンウィル(ザウバーのファクトリー)はわれわれが1993年にF1に参戦を始めて以来、最高のクルマを作り上げた」
「うまくやれるかどうかの75%は主に空力の部分にかかっている。そして、今われわれはほとんどのライバルたちの羨望(せんぼう)の的となっているよ」
そうしたクルマを手にしていながら、バーレーンGPとモナコGPでは、小林可夢偉とペレスがどちらも1ポイントも獲得できずに終わったのは悔しいことだったに違いない。
「それはしゃくにさわるよ。なぜならC31はすべてのタイプのサーキットに対して理想的なクルマだからだ。われわれにはどのサーキットでも競争力があるんだ」とザウバー代表も悔しさをにじませる。
そうであれば、ザウバーの弱点はドライバーということになるのかと問われたザウバーは次のように続けた。
「それは難しい質問だ」
「コバヤシ(小林可夢偉)は素晴らしい男だ。私は彼の姿勢が好きだし、彼はわれわれとともに成功をおさめるだろう」
さらに、ペレスが時折犯すミスについて話が及ぶと、ザウバーはほほ笑みを浮かべながら次のように説明している。
「ペレスは速いし、タイヤに優しいドライバーだよ。2年目のドライバーはまだミスも犯すものだ。でもわれわれがそうして欲しいと思っているわけではないがね」
それでも、異常なまでの混戦状態となっている2012年シーズンにおいてザウバーは現在チーム別ランキングで6位につけており、5位のメルセデスAMGを11ポイント差まで追いつめている。これについてザウバーは次のように締めくくった。
「シルバーアロー(メルセデスのレースカーの愛称)を射程圏内にとらえているというのはいい気分だよ」