レッドブルは、メルセデスがどうやって急にパフォーマンス改善を果たしたのか、その秘密を自分たちの力で解明しようと試みているようだ。
2021年のF1シーズンは現チャンピオンであるメルセデスとレッドブル・ホンダが激しいタイトル争いを展開している。しかし、シーズンが中盤にさしかかったあたりではレッドブル・ホンダがメルセデスをしのぐ力を示し始めたものの、夏休み前から再びメルセデスが勢いを取り戻し、今やメルセデスの方がかなり優位に立っていると考えられている。
そうした中、レッドブル首脳のクリスチャン・ホーナー(チーム代表)やヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、メルセデスが行った最新のエンジン改良の合法性に疑いの目を向けていた。
だが、レッドブルがF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)にその確認を求めたものの、FIAはレッドブルの申し立てを却下したと伝えられている。
マルコはこの件に関して次のように語った。
「私はメルセデスが何か違法なことをしたと思っているわけではないよ」
「だが、シルバーストン(第10戦イギリスGP)以来、何かが変なんだ。だから、今後は我々自身で彼らがなぜ急に速くなったのかを調査することになる」
「それは単にエンジンによるものなのか、あるいは何かほかの要素があるのかをね」
「我々はこれから日夜をたがわずに取り組んでその秘密を明らかにし、一刻も早くそれに対抗しなければならない」
「それは我々次第だ」
マルコのこうしたコメントが意味するところは、メルセデスF1エンジンのインタークーラーには何らかの「トリック」があるのではないかと噂されているが、それが本当かどうかについてFIAはあまり深く調べようとしていないということだろう。
先週末に行われた第16戦トルコGPではルイス・ハミルトンが規定外エンジンコンポーネント投入によるグリッドペナルティを受けたことでなんとかフェルスタッペンがポイントランキングを逆転できたものの、マシンのパフォーマンスという観点から見れば、レッドブル・ホンダが残りのレースでかなりの苦戦を強いられる可能性が大きくなっているのも事実だ。
マルコも、今季の残り6レースのうち高地で開催されるメキシコGP(第18戦/11月7日決勝)とブラジルGP(第19戦/11月14日決勝)の2レースは自分たちに有利となるはずだが、それ以外の4レースではメルセデスが有利だろうと認めている。
さらに、レッドブル・ホンダにはもうひとつ新たな心配事が出てきているようだ。
トルコGPの舞台となったイスタンブール・パークではフェルスタッペンがひどいアンダーステアに悩まされていたが、来週末に行われる第17戦アメリカGPに向けてシャシー交換をする可能性もあると考えられている。
「マックスはずっとアンダーステアを訴えていたが、我々はそれに対処することができなかった」とマルコは認めている。
だが、マルコは、チームとしてもフェルスタッペンとしても今後に向けて戦意を失ってはいないと次のように主張した。
「しかし、我々は戦い続けていくよ。また、マックスがリラックスして状況に対応しているのも前向きなことだ」
「彼はすごく冷静さを保っているし、現時点で抱えているデメリットを指摘しているだけだよ」