元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)の間で繰り広げられる今年のタイトル争いが、最終的にどちらか一方の怪我で決着がつく可能性があるのではないかと懸念している。
前戦F1イギリスGPの舞台となったシルバーストン・サーキットでは、ほぼアクセル全開で駆け抜けるコプスと呼ばれるコーナーで2人が衝突。右リアサスペンションが破壊されてしまったフェルスタッペンはそのまま高速でタイヤバリアに突っ込み、病院で一夜を過ごすことになってしまった。
幸い、フェルスタッペンに大きな怪我はなかったものの、かつてウィリアムズやトヨタで活躍したラルフ・シューマッハは、この2人には今後もこういうことが起きる可能性は高いと母国ドイツの『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』に次のように語った。
「戦いは頂点に達しつつある。誰も怪我をしないことを私は願っているよ」
「ハミルトンとフェルスタッペンは少しずつだがセナとプロストを思い起こさせるよ。お互いの接し方という点でね」
今年、F1通算8回目のタイトル獲得を目指すハミルトンだが、イギリスGPでの優勝により、ポイントリーダーであるフェルスタッペンとの差を8ポイントにまで縮めることに成功している。
最近、いくつかの信頼できるメディアが報じたところによれば、ハミルトンは今回のクラッシュについて話し合うためにフェルスタッペンに連絡を取ったという。
ラルフ・シューマッハは、いずれにしても、フェルスタッペンとハミルトンは絶対に今年のF1タイトルを手に入れると決意しているはずだと考えている。
「ルイスは、私の兄が持つ7度のF1タイトル獲得記録を絶対に塗り替えたいと考えているに違いないよ」
6歳違いの兄ミハエル・シューマッハの記録に言及しながらそう語ったラルフ・シューマッハは今季のメルセデスについて次のように続けた。
「エンジンはまだメルセデスの方が上だが、クルマの方は何かがおかしい」
「今はウイングを多用してダウンフォースを得ようとしているが、ストレートではとても遅いという事実がそれを示しているよ」
ラルフ・シューマッハはさらに、メルセデスは現行レギュレーションのもとで戦われたF1シーズンを一度もタイトルを失うことなく終えたいと考えているはずだと次のように続けている。
「メルセデスに関しては、ワークスチームでの活動はやめて将来的にエンジン供給のみを行いたいと考えているという噂がある。それゆえ、今後マクラーレンがカスタマーチームとして大きな役割を演じることになると私は予想しているよ」
「トト・ヴォルフが投資家として個人的につながっているアストンマーティンも同様だろうね。メルセデスでは、チームのオーナーシップ体制を含め、多くのことが変わっていくだろう」
最近の報道によれば、メルセデスを率いるヴォルフがフェルスタッペンの引き抜きに動いていたものと推測されているが、ラルフ・シューマッハはこうした噂について次のように語った。
「私としては、(メルセデスが)ハミルトンとの契約を延長したということは、マックスがメルセデスにノーと言ったのだと受け止めている。私はメルセデスが彼らの将来を安泰なものにするために本気で彼(フェルスタッペン)を欲しいと思っていたのだと考えているし、ルイスが唯一の代替候補だったんだ」
そう語ったラルフ・シューマッハは、いずれにしても今年のF1タイトル争いに関しては今後もレッドブル・ホンダが有利であることに変わりはないだろうと次のように付け加えている。
「メルセデスが今年の流れを変えることができるとは考えにくいよ。というのも、レッドブルが明らかに前にいるし、彼らはまだ手の内を全て見せてはいないからね」