2020年で現在のメルセデスとの契約が切れるルイス・ハミルトンだが、現時点ではまだ2021年以降の契約を結んではいない。
チームメートのバルテリ・ボッタスはすでに2021年の契約を結んでおり、来季も最強F1チームであるメルセデスで走ることが決まっているものの、伝えられるところによればハミルトンはまだメルセデスとの交渉すら行っていないようだという。
現時点ですでにランキング2番手のボッタスに44ポイント差をつけているハミルトンが今年もF1タイトルを手にし、ミハエル・シューマッハが持つF1史上最多タイトル獲得記録に並ぶのはほぼ確実だと考えられている。
そして、そのハミルトンがまだ契約を結んでいないのは報酬増額を狙うかけひきのためだと考えている者もいるようだ。
その一方で、ハミルトンが契約を遅らせているのは、メルセデスを離脱するのではないかとのうわさがあるトト・ヴォルフ(チームCEO)の今後の動向を見極めるためではないかと考えている者もいる。
そのヴォルフは今季のF1第10戦ロシアGPが開催された先週末のソチで次のように語った。
「私はルイスと仕事をするのが好きだし、彼も私と仕事をするのが好きなはずだと考えているよ」
「我々がほかの2000人のスタッフとともに一緒にやれば、もっと多くのことが達成できると私は考えている」
「だが、いつの日かそのうちの1人が去ることになっても、それがメルセデスに影響を及ぼすことはないだろう。このチームは同じレベルで活躍を続けることができるはずさ」
「確かに、もしもルイスが去ってしまえば、我々は最高のドライバーを失うことになる。それは間違いない」
そう語ったヴォルフは次のように付け加えた。
「我々全員がこの協力関係を継続させるということに同意しているよ」
ヴォルフはメルセデスF1チームの共同オーナーでもあるが、かつてレッドブルに所属していた元F1ドライバーのロバート・ドーンボスは、ヴォルフはその株式を売却する手続きに入っていると考えている。
「問題は、彼がその後も(メルセデスに)留まるかどうかだ」
母国オランダの『Ziggo Sport(ジッホ・スポルト)』にそう語ったドーンボスは次のように付け加えている。
「株式を売却した後、彼が出て行き、新しいアストンマーティンのワークスチームに加わる可能性もあるよ」
スイス出身の元F1ドライバーであるマルク・スレールも、ハミルトンがまだ契約をしようとしないのはその成り行きを見極めるためだろうと『AvD Motorsport Magazin(AvDモータースポーツ・マガジン)』に次のように語っている。
「彼にはポーカーをする余裕があるんだ。彼ら(メルセデス)が彼の代わりに誰を入れると言うんだい?」
「あのチームにとっては彼が頼みの綱だ。だから彼らも彼を待つしかない。今年はフェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が何度かボッタスに勝っている。だが、ハミルトンに勝つのはもっと難しいよ」
「つまり、ルイスには急ぐ必要などないということだよ」
さらに、オーストリア出身の元F1ドライバーであるカール・ヴェンドリンガーも、今後のハミルトンとメルセデスの交渉はどうなると思うかと質問されると次のように答えている。
「彼にはそのことを考える必要もないんじゃないかな。彼にとってはうまくいくだろう。彼はメルセデスに留まるさ。彼も最高のパッケージを手にしていることは分かっているわけだからね」