ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)の現在の目標は、レッドブルに復帰してマックス・フェルスタッペンと勝負することだ。
レッドブルと育成ドライバー契約を結んでF1昇格のチャンスを狙っていたロシア出身のクビアトは、レッドブルに昇格したダニエル・リカルド(現ルノー)の後任として2014年にジュニアチームのトロロッソでF1デビュー。
その年はチームメートのジャン-エリック・ベルニュに獲得ポイント数では差をつけられてしまったものの、随所に速さを示したことでそのポテンシャルを買われ、セバスチャン・ベッテルのフェラーリ移籍に伴って2015年にはトップチームのレッドブルのシートを獲得。そしてその年はチームメートのリカルドに3ポイント差をつけてドライバーズランキング7位で終えている。
だが、攻撃的過ぎるドライビングスタイルが災いしてレース序盤でほかのドライバーを巻き込むクラッシュを起こすことも多かったクビアトは、2016年の第4戦ロシアGP後にフェルスタッペンと入れ替わりにトロロッソに降格されてしまった。
2017年もトロロッソのシートを確保したクビアトだったが、この年のチームメートであったカルロス・サインツの後塵を拝す状況に陥ってしまった。第15戦マレーシアGPでピエール・ガスリーにシートを譲ると、ガスリーが参戦していた日本のスーパーフォーミュラと日程が重なった第17戦アメリカGPには出走したものの、そこでレッドブルから契約を解除されてしまっていた。
2018年はフェラーリのシミュレータードライバーを務めていたクビアトだが、リカルドが2019年にルノーへ移籍することになったことに伴い、ドライバー不足に苦しむレッドブルが再びクビアトにトロロッソでのF1復帰のチャンスを与えていた。
その2019年シーズンには雨による波乱の展開となった第11戦ドイツGPで3位表彰台を獲得したクビアトは、21戦中10レースで入賞を果たす活躍を見せ、2020年にはアルファタウリと名前を変えたチームのシートを確保している。
だが、そのクビアトの目標は、再びトップチームのレッドブルに戻ることだ。
「僕は以前何人かのすごく強いチームメートとやったことがある」
オランダの『RacingNews365(レーシング・ニュース365)』にそう語った25歳のクビアトは次のように続けた。
「カルロス・サインツ(現マクラーレン)はフォーミュラ・ルノーで、そしてもちろんF1ではリカルドがレッドブルでのチームメートだった」
「あれ(2015年)は面白い年だったよ。ダニエルは前の年にセバスチャン・ベッテルに勝っていたけれど、あの年にはポイント数では僕が彼に勝っていたんだからね」
「僕はF1ファンもまだそのことは覚えているはずだと思っているよ。人々は過去のことよりこれからのことに興味があるのは確かだとしてもね。誰もが以前よりもうまくやりたいと思うものさ」
そう語ったクビアトは、今度はフェルスタッペンと同じチームで争ってみたいと次のように続けている。
「もちろん、マックスのチームメートになれればうれしいよ」
「彼は今いい場所にいるよ。チームは彼のために何でもしているからね。それに加えて、彼はメンタル的にもすごく強いんだ。こうした理由によって、彼のチームメートになれれば面白いだろうと思うよ」
とは言え、クビアトは現在アルファタウリ・ホンダのドライバーでいられることもうれしく思っていると主張している。
「フランツ・トスト(アルファタウリ/チーム代表)が言うように、僕たちはもはやジュニアチームではないんだ。今年は経験あるドライバーがラインアップされているしね」
クビアトはそう語ると次のように付け加えた。
「それに、今の僕たちはクルマの開発に関してもより速く前進することができると思っているよ」