マクラーレンとウィリアムズが今後大きなチーム改革に乗り出す可能性が高まってきているようだ。
かつてF1コンストラクターズタイトルを8回獲得したマクラーレンと9回獲得したウィリアムズだが、このイギリスの名門F1チームたちが現在非常に厳しい状況に置かれている。
■どちらも自分たちの伝統の上にあぐらをかいていると元エンジニア
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、この2チームに所属していたことがあるという匿名エンジニアの次のようなコメントを紹介している。
「どちらも忠実(ちゅうじつ)な従業員たちを有する円熟したチームだ」
「だが、マクラーレンとウィリアムズにいる多くの人たちはこれまでほかのことは何も知らなかったんだ。彼らはF1がどのように進化してきたか、あるいはほかのチームが何をやっているのかを理解していない」
「もし彼らにほかのチームがどうやって進歩してきたかを伝えても彼らは信じないだろう。彼らは自分たちだけの世界で、自分たちのレーシングチームの偉大な伝統の中だけで生きているんだ」
■外部からの助言も必要だとマクラーレン
だが、実際のところ、マクラーレンもウィリアムズも自分たちには変化が必要だということを理解しているようだ。
マクラーレンでは最近レーシングディレクターを務めていたエリック・ブーリエが離脱し、ジル・ド・フェランが新たにスポーティングディレクターに就任するなど、内部人事に手が付け始められている。そしてマクラーレン・レーシングCEOのザック・ブラウンは「我々は組織を変えなくてはならない」と語り、今後も組織改造を進めることを示唆しながら次のように付け加えた。
「我々のところには自分たちの才能を示すことができない優秀な人材がたくさんいる。意思決定のプロセスも非常に時間がかかるし、内部的なコミュニケーションも十分だとは言えない。我々には新しい思考法を理解するために外部からの助言が必要だよ」
■組織やプロセスの評価作業を進めるウィリアムズ
一方、現在事実上ウィリアムズのトップの座にいるチーム副代表のクレア・ウィリアムズも自分がチーム運営の第一線から身を引くことも含めたチーム改革を検討しているようだとうわさされている。
だが、技術トップの座にあるパディ・ロウは組織改編よりも人材補強の必要があると主張している。
最近フォース・インディアが近いうちに経営破たんに陥るのではないかとうわさされているが、もしそうなった場合にはウィリアムズが多くのスタッフを引き抜きにかかるのではないかと考えられている。
そうした中、ウィリアムズに関しては、メルセデスの“Bチーム”となることで生き残りを目指すのではないかとのうわさもある。
「ウィリアムズに関してもマクラーレンに関しても非常に似たうわさ話が続いています」
チーム設立者兼代表のフランク・ウィリアムズを父に持つクレア・ウィリアムズはそう語ると次のように付け加えた。
「私たちは現在、自分たちの内部組織やプロセスについて全面的な評価を実施中です。まだその作業は完了していませんので、発表できるようなニュースはありません」